筋強直性ジストロフィーとは? ~世界初の根本治療薬開発へ~【中森雅之山口大学教授に聞く①】
このうち、最も多いのが「成人型」です。「軽症型」は白内障とごく軽い筋強直症状がある程度なので、この病気だと気づかないまま寿命を全うする場合が多いようです。 表にある「リピート数」とは、DNA上の特定の領域に生じた塩基配列の異常な繰り返しの長さを示し、長ければ長いほど早く発症しやすい傾向があります。 ー病気として診断されるきっかけはありますか。 最も多い成人型では、脚の筋肉が衰えてきて、だんだん歩きにくくなってきた、手の力が入りにくく、ペットボトルのふたが開けられないーなどの自覚症状から病院を受診して気づくことが多いようです。ただ、自分で気づかないことが非常に多く、ある程度、症状が進んでから受診するケースが圧倒的に多いです。 よく聞いてみると、筋力が落ちる前から、筋強直症状、例えば、手のひらをギュッと握ったらパッと開かないという症状は、以前からあったものの、病気と思っていなかった、特に気にしていなかったということもしばしばあり、本来なら、もっと早くに診断できたはずという場合が多いです。 ちなみに、先天型の場合は生後まもなく医師が気づきます。身体に力が入らず、泣き声が弱い、呼吸が弱いーなどから、その時点で診断されることが多いです。 軽症型に関しては、家族に他の成人型などの患者がいて気づかれるパターンがほとんどで、逆に家族の中で同じ病気を発症する人がいなければ、全く病気と気づかないまま終わることが多いと思います。
◇症状が気になったら早めに脳神経内科へ
ー自覚症状が気になったら、どの科を受診すればよいですか。 脳神経内科で診療します。しかし、現実には筋力の低下で整形外科、不整脈は循環器内科、白内障は眼科など、症状に応じてさまざまな診療科を受診することが多いようです。それらの診療科の医師に、筋強直性ジストロフィーについての認識があれば、脳神経内科に紹介してもらえるのですが、患者数が少ないこともあり、分からないことが少なくありません。開業医の先生方にも、ご理解いただき、脳神経内科にご紹介いただけるよう働き掛けているところです。 特に、呼吸器や循環器に表れる症状は、突然死をもたらし、この病気が寿命を短くする最大の要因です。従って、そのリスクをできるだけ早期に把握し、状況に応じた的確なコントロールをすることは非常に重要です。