原油相場が上げ消す、一時は急伸-イランは攻撃に控えめな反応
(ブルームバーグ): 原油相場は急騰後に上げを消した。イスラエルがイランを攻撃したと米当局者が明らかにしたものの、イラン国内メディアは控えめに扱っている様子だ。
中東紛争の拡大で原油の供給が危うくなるとの懸念から北海ブレントは一時1バレル=90ドルを超えたが、前日比ほぼ変わらずの87ドル付近へと急速に戻した。
米当局者2人によれば、イスラエルはミサイルでイランを攻撃した。だが、イランの半国営タスニム通信はこれを否定し、イラン中部の都市イスファハンの核施設は無事だと伝えた。イスファハンで爆発音があったと、同国のファルス通信は報じていた。
半国営メヘル通信の報道によると、イラン軍当局者は国内で発生した爆発に反応する必要があるとは感じていないと述べたという。
先週末のイランによるドローンやミサイルでの攻撃を受け、トレーダーはイスラエルが報復するか注目していた。イランが核施設を攻撃しないようイスラエルをけん制するなど、両国間の非難の応酬が激しさを増していた。中東は世界の原油供給の約3分の1を占める。
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緊張の高まりで相対的にリスクが低いとされる資産の需要が増加。金相場は急伸し最高値に近づいている。ドルも買われ、ブルームバーグ・ドル・スポット指数は数カ月ぶりの高値を付けた。銅相場も上昇し、株式相場は下げている。
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INGグループのコモディティー戦略責任者ウォーレン・パターソン氏(シンガポール在勤)は、「どのような攻撃だったか次第では、供給リスクが現実のものとなるシナリオに近づく。市場はより大きなリスクプレミアムを織り込み始めるもようだ」と分析した。
ABCニュースが匿名の米当局者を引用して先に伝えたところによれば、イスラエルのミサイルがイランの拠点を攻撃した。イランのメヘル通信は、テヘランとイスファハン、シーラーズの各都市と西側国境の空港で航空便の運航が停止されたと報じた。