独立リーグは「めっちゃ楽しかった」 1年勝負のBC神奈川・安里海は賞総なめでNPB断念
今秋のNPBドラフト候補に挙がっていた安里海投手(25)が21日、所属していた国内独立リーグ「ルートインBCリーグ」の神奈川から今季限りで退団することが発表された。 【写真】東海大時代の安里海 現在25歳。日刊スポーツの取材に対し、NPBへの思いを「全くないです」と夢に区切りをつけたことを明らかにした。 沖縄県出身。東海大相模(神奈川)から東海大を経て、社会人野球の日立製作所へ進んだが「登板機会をもっと欲しかったので」と退社し、「NPBへの夢をこの1年にかけます」と独立リーグに飛び込んだ。 球の出どころが見づらいスリークオーター左腕として活躍し、20試合に登板し11勝4敗、防御率2・87。リーグ最多勝、最多奪三振、ベストナインに加え、リーグMVPにも輝いた。 「めっちゃ楽しかったです。数字もめっちゃうれしい。内容的にはもっとやれたのもあるんですけど、そこはもう正直、関係ないです。結果が素直にうれしいですね」 しかしNPBへの道は甘くない。ドラフト前に届いた調査書は1球団のみだった。「平均球速が少し落ちちゃったのはありますね」。同じように社会人野球からBCリーグに飛び込んで活躍したBC茨城・大友宗捕手(25)も、支配下指名を期待されていた中でソフトバンクの育成3位指名。25歳の壁は厚い。 「彼と同じような境遇でやっていて、これが高校や大学とかだったら、めっちゃ悔しいと思うんです。でも今は、自分がプロ行けなくてあいつが、とかいうのは全然なくて、むしろ同じ立場だったから素直にうれしいんですよね」 安定した大企業を辞め、独立リーグへ。この先、同じ道を歩む若者も出てくるかもしれない。 「悩んでいるなら、絶対に決断したほうがいい。最初は『え、独立?』みたいな考えになると思うんですけど、少しでも悩んでいるならぜひ。めちゃくちゃいい場所でした。スカウトの方々にもたくさん試合を見ていただけますし」 安里はやり切って、自らNPBへの道を閉ざした。これからの野球は。 「悔いは全くないんです。でも今までは自分のために野球やってたと思うんです。応援してくれる人のために、親のために、あとちょっと頑張ろうかなとか、ちょっと思ってます」 25歳。どこで投げるにしても、NPBを目指さなければ、それこそ「あとちょっと」の現役生活。その先の夢は。 「その時にやりたいことを。ゆっくり探していきたいです」 歌が好きで、沖縄に帰れば三線(さんしん)も響かせる。のんびりと晴れやかに、大人になっていく。【金子真仁】