能登地方に本社を置く企業は4075社、最多は「七尾市」705社 建設・サービス・製造などで多い
「令和6年能登半島地震」関連調査
石川県・富山県の13市町村が含まれる能登地方に本社を置く企業数は、2023年11月時点で4075社だった。市町村別でみると、最も多いのは「七尾市」で705社(構成比17.3%)だった。以下、「氷見市(富山県)」596社(14.6%)、「かほく市」498社(12.2%)の順となった。震源地に近く、特に被害が大きいとみられる「輪島市」は315社(7.7%)、「珠洲市」は210社(5.2%)、「能登町」は245社(6.0%)だった。企業数が300社を超えたのは13市町中5市町に上った。業種別では「建設業」が最も多く、「サービス業」「製造業」が続いた。 多くの地域で停電や通信障害が発生、燃料や食料供給などライフラインは寸断された道路網と合わせて復旧の見込みが立たない状況が続いている。能登地方に工場や営業拠点を有する企業もあるなかで、交通の寸断などによって生産・消費活動に広く影響が出るとみられる。復旧・復興が長期化すれば、能登地方の企業と取引を行う全国の企業にも影響が広がる可能性がある。
従業員数(正社員)での合計は4万9728人
能登地方に本社を置く企業の売上高合計は1兆3018億円(2023年11月時点、最新期)だった。市町別にみると、最も多いのは「かほく市」の2496億円(構成比19.2%)で、「七尾市」の2465億円(18.9%)、「氷見市」の1309億円(10.1%)が続いた。産業別では、「製造業」が4346億円(33.4%)で最も多く、全体の3分の1を占めた。次いで医療や宿泊業などの「サービス業」が2022億円(15.5%)、「建設業」が1785億円(13.7%)で続いた。売上高合計が1000億円を超えるのは、「小売業」(1061億円)を含め7業種中4業種だった。 従業員数(正社員)での合計は4万9728人に上った。従業員数が最も多かったのは「七尾市」で1万1207人だった。次いで「かほく市」の7345人、「氷見市」の5557人と続いた。震源地に近く、特に被害が大きいとみられる「輪島市」は2925人、「珠洲市」は1586人、「能登町」は2080人だった。業種別では、「サービス業」が1万6603人で最も多く、次いで「製造業」の1万6041人、「建設業」の6890人と続き、上位3業種で全体の約8割を占めた。 業種を細かくみると、「サービス業」では医療業や宿泊業で企業数が多かった。宿泊業は過去の東日本大震災(2011年)や熊本地震(2016年)、北海道胆振東部地震(2018年)など同様に、一時的に観光需要が大きく減少する傾向にあり、能登半島を中心とした観光産業では広く影響が出る可能性がある。 「製造業」の社数は全業種で3番目の多さとなるものの、売上高では全産業中最も高く、能登地方の基幹産業となっている。「製造業」を細かくみると、特に繊維工業で多く、金属加工や食料品製造、工作機械などの一般機械器具製造などで多かった。能登地方では輪島塗や七尾仏壇、珠洲焼など伝統工芸品の生産が盛んなほか、電子回路の基板生産などエレクトロニクス産業などもあり、これらの部品を使用した生産活動への影響が懸念される。