米国で信号無視が “非犯罪化” の意外な背景…ハワイでは日本人観光客を狙い撃ちした取り締まりも
米国で、驚くべき法律改正が進んでいる。9月末、ニューヨーク市議会は、信号無視を “非犯罪化” する法案を賛成多数で可決したのだ。 【写真あり】ハワイの横断歩道では、日本人を狙った取り締まりも横行 エリック・アダムス市長には同法案の可決を拒否する権限があるが、現在、市長は米連邦検察から収賄など4つの罪状で起訴されていることもあり、法案はこのまま施行される見込みだという。 それにしても、なぜ信号無視を “非犯罪化” するのか。背景には複雑な事情があるようでーー。 「そもそもニューヨークでは、日本とは比べものにならないほど赤信号を守る歩行者が少ないんです。クルマが来ても、むしろこれを制してまで横断するくらい強引です。 もちろん、違反は違反なので取り締まりを受けます。しかし、2023年に市警が発行した違反切符数百枚のうち、じつに90%以上が黒人とラテンアメリカ系の歩行者だったそうです。つまり、警察が恣意的に人種を選んで取り締まりをしているのではないかという疑念が出ているのです」 と語るのは、現地の日本人駐在員。さらに、こう続けた。 「警官が恣意的に違反切符を切っているという批判は、かなり以前からありました。被疑者に公選弁護士をつける『全米法律扶助・弁護人協会』も、『信号無視の取り締まりは、過剰取り締まりの口実になっていた』と、違法な身柄拘束の方便に使われていると声明を出したくらいです。“非犯罪化” は、つまりこうした人種差別をなくすという趣旨なのです」 超国際的な都市であるニューヨークで、警察による人種差別がまかり通っていたとすれば、驚くべきことだ。しかし、似たような “差別” は、日本人にとってもっとも身近なハワイでも起きている。 「ハワイ州では、信号無視の罰金は1年間に2回までは300ドル。3回めから500ドルです。また、横断歩道のない場所を渡る “Jay Walk” も違反です。ハワイ州の警察は道路横断の違反は厳格に切りますね」 と、明かすのは日系旅行会社に勤務する観光ガイドの男性だ。 「日本と違って、カウントダウンが表示されたら横断歩道を渡ってはいけないことになっています。この罰金は130ドル。日本は信号が点滅してから慌てて渡る人も多い。真逆なルールなので、日本人観行客を狙い撃ちした罰金だといわれています。 なにをするわけでもなく横断歩道の横に立っている警官は、日本で言う “ネズミ捕り” みたいなものです。 罰金は、小切手や、電話でオペレーターにクレジットカード番号を伝えるなど、いろいろな方法で徴収されます。払わずに帰国すると、次回の入国時に逮捕されることもあるので、とくに日本人観光客の場合、素直に払うでしょう。 ただ、これが “差別” だと言われても、多くの日本人はルールを守らない人が悪い、と考えるのではないでしょうか。まさに国民性の違いですね」 なにより交通事故が起きないことが最優先のはずだが……。