「強く言う」はただ「声を大きく」ではなかった…プロに聞く「人を惹きつけるスピーチ」
話し始めた途端、その人の空気になる…… そんな現場に居合わせた経験、みなさんもあるのではないのでしょうか。 【写真】オンライン講演会で「サプライズ」をする信元さん 「その人の空気になる」というのは、決して強制的なものではなく、話している内容が自然と頭にスッと入ってくる感覚。内容は同じなのにこの人が話すとなんか面白いと感じてしまう。 それができる人は神に選ばれた特別な人だけの能力だと思い込んでいました。 でも本当は、私もそんな人になりたかった……! 「なれますよ」とあっさり教えてくれたのはNYでプロスピーカー&戦略コンサルタントとして活躍する信元夏代さん。 信元さんは「日本生まれ日本育ち」にもかかわらず、国際スピーチコンテストで日本人初の地区大会優勝5連覇を果たしているまさにまさに伝えることの「プロ」。 さらに2024年、スピーカー界のアカデミー賞とも言われる秀逸なエリートスピーカーにのみ与えられる「CSP®」(Certified Speaking Professional)の称号を獲得しました。CSPを保持しているのは世界で数百人のみで、日本人として初めての快挙です。5月24日には「中居正広の土曜日な会」(テレビ朝日系)にて、大谷翔平選手のスピーチについて解説もしていました。 そんなプロスピーカー信元夏代さんによるFRaU web連載「伝え方を鍛える」(毎週月曜更新)では、日々のコミュニケーションの悩みを取り上げて、今日から使えるメソッドをお伝えしていきます。 第4回目は「惹きつけられる話し方のテクニック」をテーマに今日から使えるテクニックを教えていただきます。
伝えたいことをうまく伝える、話し方のテクニック
人の声によってどういう風に調整するかはもちろん変わりますが、基本共通しているのは明るいトーンで話すということです。 声が高いか低いかということではなく、自分の声をベースに明るいトーンで話すということ。ですので、自分の声質がどういうタイプなのかを知っておくことは大事でしょうね。 また、相手や会場の雰囲気にエネルギーレベルとマッチさせるということもあります。 研修や基調講演でも意識しているのですが、聞いている人たちの雰囲気が静かで厳かな感じなのに「はーい、みなさんこんにちは!!」と高くて大きな声で話し始めると浮きますよね。 その場のエネルギーレベルが低いのなら大人しめに入って徐々にエネルギーを上げていく。逆にエネルギーレベルが高い場合は、高く入って徐々に落ち着かせる。 基本エネルギーは出していくんですが、ギャップが大きすぎると距離感が出てしまうので、初めは合わせていきましょう。 エネルギーレベルを合わせたら、次は伝えたいことを相手の心に届けるための抑揚についてお伝えします。 各文章単位で「この単語を持ち帰ってほしい」がありますよね。それを「オペラティブワード」と呼んでいます。一文の中でもどこを強調するかで印象が変わってきます。 例えば「NYに29年住んでいる信元夏代です」も「NYに“29年”住んでいる信元夏代です」なら「29年」が強調されます。 どこを強調するかで聞き手に何が伝わるかが変わってくるので、伝えたいことを強めに言う。そうするとダイナミックに話せますよね。そして、強調した部分についての話題が広がるはずです。