関西でマンション価格高騰、32年ぶり高値 新住民取り込みで街若返りに期待高まる
関西のマンション価格が高騰している。2023年度の新築マンションの平均価格は4935万円で、バブル期以来32年ぶりの高値を付けた。資材価格や人件費の上昇に加え、訪日客向けに急増するホテルと用地確保で競合し、土地価格が値上がりしていることが背景にある。ファミリー向けなどターゲットの明確な物件は新たな住民を取り込むため、街の若返りに期待が高まる。 JR大阪駅北側の再開発区域「うめきた2期」(グラングリーン大阪)に建設中の高級タワーマンション「グラングリーン大阪 ザノースレジデンス」が、価格上昇をけん引した。地上46階建ての総戸数484戸で、王宮をイメージしたデザインを取り入れた。最上階の1部屋は広さ約305平方メートルで、分譲価格が関西最高額の25億円。平均価格は約2億3200万円となる。2月の第1期販売は即日完売し、抽選倍率は平均約17倍、最高95倍だった。 旺盛な需要の背景には、JR大阪駅隣接という立地の良さがある。開発を手がけた積水ハウスの宮島一仁(みやじま・かずひと)マンション事業本部長は「海外からの投資用物件というイメージを持たれることもあるが、実際は日本人がセカンドハウスも含めた居住目的で購入するケースがほとんどだ」と説明する。
阪急阪神不動産(大阪市)が大阪・十三で手がける地上39階建ての「ジオタワー大阪十三」は、最上階の広さ163平方メートルの角部屋が3億円超。低層階には市立図書館や保育学童施設も入るファミリー向け物件で、住民の若返りが予想される。飲食店が並ぶ繁華街と下町のイメージがある十三エリアだが、マンション建設を機に街の雰囲気が変化する可能性も指摘されている。 不動産経済研究所が発表した23年度の近畿2府4県の新築マンション1戸当たりの平均価格は前年度比5.5%上昇の4935万円。1991年度の5464万円に次ぐ高値を記録した。笹原雪恵(ささはら・ゆきえ)大阪事務所長は「工事費、土地価格が高止まりしており、今後もマンション価格が下がる余地はない」と指摘する。グラングリーン大阪では、大阪駅により近い場所に別のマンションの建設も予定されており、平均価格が一層上昇する可能性もある。