R32型スカイラインGT-Rが550万円で蘇る!? 日産が手掛ける“ボディのリビルド”が凄すぎた!!!
2024年1月12日から開催された「東京オートサロン2024」(千葉県・幕張メッセ)では、日産サービスセンターが徹底的に手をくわえたR32型の「スカイラインGT-R」を展示した。訊くと一般ユーザーも“ボディのリビルド”を依頼できるという! 大谷達也がリポートする。 【写真を見る】蘇ったスカイラインGT-Rがコレだ!!!(21枚)
新車のような状態に復元
1966年に日産自動車の100%子会社として設立された日産サービスセンターは、日産販売会社からの依頼を受けて新車の納車前点検やディーラーオプションの取り付けをおこなうのが主な業務。それだけ日産車のことは知り尽くしているわけだが、そんな彼らが始めた新たな事業が“ボディのリビルド”である。 同社は、前述した納車前点検以外にも、納車後の事故で損傷したボディの修復をおこなう部門があり、“ボディのリビルド”はこの板金塗装修理部門が中心となって立ち上げられた。その作業は極めて念入りなもので、パワートレインやサスペンションなどのコンポーネントをすべて取り外し、オリジナルの塗装を全面的に剥いだあと、再塗装をゼロからやり直すというもの。こういった作業は、通常“レストア”と呼ばれるが、日産サービスセンターでは「見た目の修復やフルオリジナルへの復元だけでなく、機能を再構築し、ふたたび気持ちよく走れることに主眼」を、置いているため、エンジンやギヤボックスなどの機能部品を組み直す際に用いられる“リビルド”という言葉を敢えて使っているそうだ。 彼らのこうした姿勢を示す一例が、溶接で組み上げられた部品であっても、必要であればその溶接を一度分解し、内部に異状がないことを確認してから再度、溶接→塗装という工程を実施する点にある。たとえばサイドシルのように、自動車に使われる部品には溶接によって箱状に仕上げられ、内部にサビがあるかどうかを確認できないケースもあるが、そんなときには、前述のように溶接をバラしてさえ内部を確認するというのである。 また、こうした診断の結果、オリジナルのボディパネルが使えないと判断された場合には、パネルを新造することで新車さえ上まわるコンディションにまで復元するという。 なお、日産モータースポーツ&カスタマイズとサプライヤー(かつてのニスモとオーテックが合併して2022年に誕生した企業)は「ニスモ・ヘリテージ」の名称で、現在は廃番となっている純正補修部品の復刻生産(対象はR32型、R33型、R34型のスカイラインGT-R)をおこなっているが、これを含めて新品では入手できない補修部品については、コンディションのいい中古パーツを全国から探してきて使用するそうだ。 今回は、こうした作業の一例としてR32 型スカイラインGT-Rのボディをリビルドして東京オートサロン2024の会場に展示したが、その美しい仕上がりは、まさに新車と見紛うばかりだった。ちなみに、この作業のパッケージ料金は550万円(税込)とされているが、診断の結果、車体以外の部品を交換/修正する場合には、別途、費用が発生することもあるという。 ちなみに納期は4~5カ月程度で、作業後には保証が付与されるとのこと。もっとも、このリビルド作業を一度行えば、その後10数年間は安心して乗れると、同社の関係者は自信満々な表情で語っていた。 現在、“ボディのリビルド”を受け付けているのは日産サービスセンターのなかでも北海道支社と京浜支社の2カ所のみ。ただし、来店の際には予約が必要というので、同社ホームページで確認のうえ、問い合わせすることをお勧めする。
文・大谷達也 写真・安井宏充(Weekend.) 編集・稲垣邦康(GQ)