印刷ECラクスル、法人IT業務効率化「新事業」に秘める野望
印刷ECサービスなどを手がけるラクスルの新事業は、企業内のIT環境を構築・整備するコーポレートITの支援領域だ(写真:EKAKI/PIXTA)
2018年に上場し、売上高の拡大を続けるラクスル(4384)。12月9日に発表した2022年7月期の第1四半期(2021年8~10月)決算は、売上高が70億0700万円(前年同期比30.4%増)、営業損益は1億0500万円の赤字(前年同期は6600万円の黒字)だった。 同社は、ネットでチラシや名刺などの印刷を受注し、提携印刷会社に仲介する印刷ECサービス「ラクスル」が主力。このサービスは、過去5年間で売上高が5.9倍、同社がKPI(重要業績評価指標)とする売上総利益は7.9倍に成長している。 それに加えて、業容拡大を後押しするのが新規事業だ。2015年にはネットで荷主から配送依頼を受けて運送会社の登録ドライバーとマッチングする運送仲介サービス「ハコベル」を、2020年にテレビCMの買い付けや効果測定ができるサービス「ノバセル」を立ち上げている。ラクスルは中長期目標として2025年7月期の売上総利益175億~200億円(前期は71億5100万円)を掲げているほか、3~5年程度でROE(自己資本利益率)10%(同2.1%)を目指すとしている。 そんなラクスルが照準を定めたのが企業内のIT環境を構築・整備するコーポレートITの領域。1人しかいない情報システム担当者が社内のIT関連業務を担う状態である「1人情シス問題」などが取り沙汰される中、同社は今年9月にコーポレートITを支援する新事業「ジョーシス」を本格的にスタートした。 企業が使うIT端末やソフトウェアの購入、管理を一括でできるITデバイスとSaaSの統合管理クラウドサービスだ。個別見積もりのシステム利用料に加え、ITデバイスのキッティング(各種設定や必要なソフトのインストールなど)や保管を委託する場合はその手数料も受け取る。リモートワークの広がりなど、企業の間でデジタル化がさらに加速していることを追い風に、事業拡大を目指す構えだ。第4の収益柱として期待されるジョーシス事業だが、同社の松本恭攝・代表取締役社長CEOは「国内展開だけでなくグローバル展開まで見据えている」と断言する。ジョーシス事業の狙いと今後の展開を聞いた。
本文:4,123文字
購入後に全文お読みいただけます。
すでに購入済みの方はログインしてください。
佃 陸生