幸四郎「ラ・マンチャの男」公開通し稽古 2日から大阪公演
幸四郎「ラ・マンチャの男」公開通し稽古 2日から大阪公演 THE PAGE大阪
夢は叶えようとする、その人の心意気だ──。ミュージカル「ラ・マンチャの男」が2日~21日、大阪市中央区のシアターBRAVA!で上演される。1日夜には公開通し稽古が行われ、主役のセルバンテス/ドン・キホーテを演じ続けている松本幸四郎、そして今公演からヒロインのアルドンザを演じる霧矢大夢らが2時間10分にわたり熱い演技を繰り広げた。
幸四郎・1969年の初演から1207回演じる
大阪では6年ぶりとなる同公演だが、幸四郎は1969年の初演から1207回にわたって、主役のセルバンテス/ドン・キホーテを演じ続けている。そして、今公演から松たか子に代わり大阪出身で元宝塚トップの霧矢が演じることもあり、注目を集めている。 物語の舞台は16世紀末のスペイン・セビリア。宗教裁判にかけられるために牢獄にやってきたセルバンテスをからかい、上条恒彦が演じる囚人たちのリーダー「牢名主」は彼の持っていた芝居の原稿を燃やそうとするが、それを阻止しようとセルバンテスは即興劇の形で申し開きをさせて欲しいという。そこからその台本をもとにセルバンテス、従者そして囚人たちで、ドン・キホーテの生涯を演じていくという物語だ。 ドン・キホーテを演じるのはセルバンテス。ドン・キホーテは宿屋の下働きの女アルドンザを「姫」と称して敬い、姫のために戦うと誓う。 そうしてともに劇を演じるうちに囚人たちは、夢を追い、かなわないような敵にも立ち向かうドン・キホーテの姿や「事実は真実の敵なり」「一番憎むべき狂気とは、あるがままの人生に折り合いをつけて、あるべき姿のために戦わないことだ」「勇気を出すんだ」といったセルバンテスの言葉に励まされ共感していく。
幸四郎、霧矢の息もピッタリ
幸四郎は5月に行われた同公演の製作発表会見で、ミュージカルデビューが大阪だったことを明かした。1965年4月、市川染五郎(六代目)と名乗っていた22歳の時に、梅田コマ劇場(現在の梅田芸術劇場)で公演された「王様と私」で、歌舞伎だけでなくミュージカルの道も歩み出した。 「ラ・マンチャの男」はそれから4年後の1969年。翌年の1970年には27歳で日本人として初めてブロードウェイで主演し、英語でセルバンテス/ドン・キホーテを演じた。近年では日本版の演出アレンジも自身が手がけている。 今公演でもドン・キホーテを力強く演じ、霧矢との息もピッタリ。稽古終了後には、すぐにオーケストラや出演者と舞台で打ち合わせながら、あすからの本番への意気込みを表していた。 シアターBRAVA!での公演は2日~21日。その後、26~28日は長野県松本市のまつもと市民芸術館で。10月4~27日は東京千代田区の帝国劇場で行われる。