「星空保護区」認定で観光客増も…マナーの悪さ目立つ 福井県大野市、どうする対策
星空の世界遺産と呼ばれる「星空保護区」に福井県大野市南六呂師区が認定され、間もなく半年を迎える。星空に対する市民の関心が高まり現地への観光客が増加した一方で、星空観察時に必要以上の光を発生させたり騒いだりするマナーの悪さが目立ち始めている。観光客が安全で安心して美しい星空の観察が楽しめるよう、市や関係機関は知恵を絞る。 南六呂師区は昨年8月、米NPO団体が提唱する星空保護区のアーバン・ナイトスカイプレイス部門でアジア初の認定を受けた。市内の天体愛好団体や市によると、認定後は天体観察会の参加者が増加し、大野と星空を関連付けたウェブ検索数は右肩上がり。同区にあるミルク工房奥越前でハンモックで夜空を楽しむ「星空ハンモック」の今年1月末現在の体験者数は前年度比1・7倍の約2100人となった。 3月からは星空ハンモックをコースに取り入れた着地型観光バスツアー「はぴバス」や星空観光バスが運行予定で、市はさらなる観光客増を期待する。 ただ、保護区認定後、星空を観察する一部の観光客による迷惑行為が見受けられるという。県自然保護センターによると、駐車場で車のライトをつけたままにしたり、駐車場に寝転がって星を観察したりする姿が見られたという。 ミルク工房奥越前周辺では星空ハンモックの実施エリアで騒ぐ観光客や駐車場での危険行為もあった。市や関係団体でつくる「星のまちおおの推進協議会」の脇本正則さんは「観光客が増えても事故やトラブルが起きれば大野の印象は悪くなる」と危惧する。 また、市内の天文愛好家によると、星空を案内する人材の育成が遅れ、ミルク工房奥越前周辺以外での観光客への対応も十分ではないとする。市内で夜間に営業する商店が少なく、経済効果につながっていないと指摘する声もある。 こうした課題の対策に関係機関は乗り出している。県自然保護センターでは昨年11月から閉館後は駐車場を閉鎖している。大野市は本年度中に、保護区の案内看板を南六呂師区内に設置する予定。看板にはミルク工房奥越前周辺の地図を記載し観察エリアと駐車エリアの区分を明記し、星空観察時の注意事項も盛り込むという。ミルク工房奥越前では、星空ハンモック開催中と分かるようカラーコーンで仕切りをすることを検討している。 ミルク工房奥越前の西側には、県と市による六呂師活性化構想で2025年度の供用開始を目指しオートキャンプ場の整備が計画されている。星のまちおおの推進協議会の橋本恒夫会長は「キャンプ場の明かりで、星空が見えにくくならないよう配慮しなければならない」と指摘する。市観光交流課は、活性化構想に関わる事業者には南六呂師区は星空保護区と伝えているとし、ミルク工房奥越前周辺以外で星を見る観光客が訪れた際の対応も検討中という。加藤嘉一課長は「推進協議会の意見がまとまった段階で、安全対策などについて何ができるか市としてしっかり考えていく」としている。
福井新聞社