8世帯、集団移転に合意 輪島市門前町浦上の中屋地区 市内で初
●公民館近く災害公営住宅要望へ 能登半島地震で一時孤立した輪島市門前町浦上の中屋地区は28日、全11世帯のうち8世帯が集団移転することに合意した。約4キロ離れた浦上公民館近くへの移転を希望しており、近く同所での災害公営住宅整備を市に要望する。輪島市内で集団移転の動きが具体化するのは初めてとなる。 浦上では中屋以外の地区でも移転を検討する動きがあり、浦上全体としても、市に対して公民館周辺に災害公営住宅を整備するよう働き掛ける。 中屋地区は土砂崩れで通行止めが続く国道249号中屋トンネル西南側の山あいに位置し、元日の地震では道路が寸断されて2日間、孤立状態に陥った。11世帯の大半は自宅が全半壊し、約30人が市内の仮設住宅やアパートなどに身を寄せている。 28日は同市門前町道下の仮設住宅団地内集会所で地区の総会が開かれ、17人が出席した。住民からは「家を建て直しても跡継ぎがいない」「できることなら浦上で(人生を)終わりたい」との声が上がり、8世帯が移転を受け入れた。残る3世帯は市外に別の住宅があったり、自宅の再建をしたりする予定で、集団移転には加わらない。 浦上には全26地区があり、このうち中屋など11地区は避難や仮設住宅への入居などで「無人状態」となっている。地震前は約210世帯約430人が暮らしていたが、元日以降、62世帯が地域を離れた。 浦上の喜田充総区長(75)は北國新聞社の取材に「将来的に自助・共助が困難になる。住民が住み慣れた土地にとどまることができるよう、市にはコミュニティー維持の基盤を整えてもらいたい」と語った。