〔国内〕2024年6月の災害を振り返る
2024年6月に発生した国内での大規模な災害、事故・事件の案件について振り返ります。 ※被害の内訳については、原則的にレスキューナウによる情報取りまとめ時のものです。それぞれの記事の最終更新日以降の状況については反映されていないことがあります。 ●6月 【自然災害】石川県能登地方でM6.0の地震 石川県輪島市・珠洲市で最大震度5強を観測 [被害]負傷者2人 全壊7軒 2024年6月3日06:31頃、石川県能登半島地方を震源とするM6.0の地震が発生し、石川県輪島市と珠洲市で震度5強、能登町で震度5弱の揺れを観測した。また、東北地方から中国・四国地方の広い範囲で震度4~1の揺れを観測した。この地震で、石川県津幡町では女性1人が重傷を負ったほか、富山県滑川市でも男性1人が負傷した。輪島市では、1月1日に発生した能登半島地震により倒壊していた建物7軒がさらに倒壊、能登町では建物の天井が落下するなどの被害があった。 この地震では、東北から近畿までの26都府県に緊急地震速報が発表され、首都圏でも鉄道のダイヤが乱れるなどの影響が出た。気象庁によると、同時刻に同じ場所で地震が連続して発生したため、緊急地震速報に用いられる地震波の検知が不安定になり、地震の規模を過大評価したことで、広い範囲に対しての発表となったと説明している。 能登半島地方で震度5弱以上の地震を観測したのは、1月16日に石川県志賀町で最大震度5弱を観測した地震(M4.8)以来、約5か月ぶりとなる。 【自然災害】梅雨前線を伴った低気圧で静岡県伊豆地方を中心に大雨 [被害]床上浸水36軒 床下浸水103軒 2024年6月17日から19日にかけて、沖縄から東日本の太平洋側の広い範囲で大雨となった。大雨の原因は梅雨前線を伴った低気圧で、南から暖かく湿った空気が流れ込んだことで、特に静岡県伊豆地方で強い雨が降った。観測地点によっては12時間雨量が6月で最も多かった地点もあり、伊豆市湯ヶ島で301mm、熱海市網代で255.5mmを観測した。 大雨直前の6月17日には、国土交通省九州地方整備局と福岡管区気象台が合同での記者会見を行い、九州南部での大雨警戒を呼びかけたほか、四国や九州南部で線状降水帯発生の恐れがあるとの予報も出されたが、結果的には静岡県での降雨が多いという形になった。 一連の大雨による人的被害は報告されていないが、総務省消防庁によると、静岡県沼津市では30軒が床上浸水、70軒が床下浸水になるなど、静岡県では139軒が浸水被害を受けた。また、高知県田野町では突風が吹き、ビニールハウスの倒壊や損傷といった被害が出た。 【自然災害】鹿児島県・静岡県で線状降水帯による大雨 [被害]半壊1軒 床上浸水1軒 床下浸水17軒 2024年6月下旬、西日本から東日本にかけて停滞する梅雨前線の活動が活発となった影響で、広い範囲で断続的に非常に激しい雨が降って大雨となった。特に、鹿児島県と静岡県では線状降水帯が発生して家屋の損壊や浸水などの被害があった。 このうち、鹿児島県では、6月21日05:18に大隅地方、次いで05:27に薩摩地方で線状降水帯が発生し、顕著な大雨に関する気象情報が発表された。これに先立ち、鹿児島県を含む九州南部には、前日の6月20日昼前から線状降水帯発生の可能性を予想する気象情報が発表されていた。この大雨により、鹿児島県指宿市では、24時間降水量が観測史上1位の記録を更新する423mmに達し、市内では住宅に土砂が流れ込み1軒が半壊するなどの被害があった。また、鹿児島市の国道でも道路脇ののり面が崩れ車2台が巻き込まれたが、けが人はなかった。 6月28日には静岡県で大雨となった。6月28日10:47には静岡県西部、次いで11:17に静岡県中部で線状降水帯が発生し、顕著な大雨に関する気象情報が発表された。県内では、藤枝市高根山で11:20までの1時間に86.5mmの猛烈な雨が降り、日降水量が平年の6月1か月分の約75%に相当する247mmに達するなど広い範囲で大雨となった。この大雨により、磐田市では豊岡地区で上野部川が氾濫し住宅11軒が浸水するなど、県内であわせて住宅18軒が浸水する被害があった。また、東海道新幹線が下り線の東京~浜松駅間、上り線の新大阪~三島駅間で一時運転を見合わせるなど交通機関にも影響が生じた。 この6月28日の大雨については、前日の6月27日昼前に発表された線状降水帯発生の可能性を予想する気象情報では、発生が予想される地域を九州北部地方(山口県、福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県)としていたものの、実際には事前の予想がなかった静岡県で線状降水帯が発生した。気象庁は、線状降水帯の発生について、半日前の発生予測で実際に発生した「的中」が4回に1回程度、半日までに予測できずに実際に発生した「見逃し」が2回に1回程度あるとしており、大雨警報や土砂災害警戒情報などの段階的に発表される気象情報に注意するよう呼びかけている。
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