序盤両投手の投げ合いで始まった師弟対決!中盤以降日大鶴ケ丘が底力を発揮 都立狛江・西村監督の「鶴への恩返し」ならず【24年夏・西東京大会】
都立狛江の西村昌弘監督は日大鶴ケ丘の出身。日大鶴ケ丘の萩生田博美監督は恩師となる。「監督になって5年目の選手で、思い入れはあります。でも長くやっていると、必ずどこかで対戦することはあります」と、萩生田監督は、比較的淡々と語る。対する狛江の西村監督は、「高校野球をやっていて、一番楽しみな試合でした」と、強い気持ちを出して戦った。 【トーナメント表】夏の西東京大会 ここまでの結果 勝敗のカギとなるのは、日大鶴ケ丘・住日翔夢(2年)、狛江は三竿知朗(2年)という両左腕投手の投球だ。住は同じ2年生の右腕・小林駿斗が秋季都大会で好投したことから刺激を受け、秋は127キロ程度だったストレートが、10キロ程度速くなった。「夏の大会の最初の試合だったので緊張しました」という住だが、力のある球を投げ込む。 都立狛江にとって惜しまれるのは2回裏の攻撃。この回先頭の5番・新井田一路外野手(3年)が二塁打で出塁したが、続く6番・鹿島佑太外野手(3年)のバントを、住が素早く三塁に送球して刺した。「バントのミスなんかを許してくれませんね」と西村監督は、日大鶴ケ丘の野球の厳しさを実感する。 一方狛江の三竿も好投する。「好投手だとは聞いていましたが、いいピッチングをしていました。これから、どこかで名前が出るであろうピッチャーだと思います」と日大鶴ケ丘の萩生田監督は語る。実際、三竿は大学で野球を続けることを希望している。 試合は、序盤3回は両チーム得点が入らず0-0の投手戦になった。けれども、一度流れを渡すと一気に攻めるのが強豪校だ。4回表日大鶴ケ丘は、5番・尹和仁外野手(3年)の四球、6番・小原惇矢捕手(3年)左前安打に続き、7番・五十嵐悠二塁手(2年)の犠打、8番・坂詰直彦遊撃手(2年)の右前安打で1点先制すると、9番・住の中犠飛で1点を追加する。5回、6回と3番・小針大輝一塁手の2打席連続二塁打などで1点ずつを追加すると、7回表には三竿投手も限界に達して降板し、この回大量9点が入り、試合が決まった。 最後は大差がつきコールドゲームとなったが、都立狛江は都立の強豪校としての地位を築きつつある。そしてこの試合も序盤は日大鶴ケ丘を苦しめた。「いいチームを作ったなと思います」と日大鶴ケ丘の萩生田監督は教え子を称えた。一方狛江の西村監督は、「いい試合をして恩返しをしたかった」と言って悔しがった。けれども、狛江も力を付けているだけに、また遠からず師弟対決が実現するに違いない。