「ここに建てた市の責任でしょう」能登豪雨で水没した仮設住宅は “水害危険エリア” だった!住民が明かす「水が溜まる」の前評判
9月21日、石川県輪島市や珠洲市を襲った猛烈な豪雨は、1月に発生した能登地震の被災地に新たな被害をもたらしていた。 【写真あり】水害で泥だらけになった仮設住宅 水害が襲ったのは、元旦の地震で自宅を失った人向けの仮設住宅も例外ではなかった。宅田町に建てられた3つの仮設住宅団地の一つ、「応急仮設住宅宅田町第2団地」は、土手をはさんですぐ隣に河原田川が流れている。元旦の地震の被災者が暮らすこの仮設住宅にも、水が流れ込んだ。 ここに仮設住宅が建設されることに、地元の住民はかねてから不安を抱いていたという。仮設住宅の住民がこう話す。 「ここはもともとパチンコ店とその駐車場があった場所なんです。このあたりは水はけが悪いので、大雨が降って駐車場が水没したことがありました。そうした事情もあって、この場所に仮設住宅を建てることに、『本当に大丈夫なの?』と不安をぬぐえないでいました」 水害の危険性を感じながらも入居を決めたというこの住民。実は、それでも入居せざるを得ない理由があった。 「私は6月まで避難所にいて、6月にようやく仮設住宅に入れたところだったんです。ただ、どこの仮設に入るかまでは選べませんでした。 この『第2団地』を指定されて入居するときには、近所の人から、『あの場所は水が溜まるから、大雨が降ったら気をつけたほうがいいよ。水が入ってくるかも』と言われていたんです。 案の定、今回の大雨では、水が膝の高さまで部屋の中に入ってきました。いま部屋のなかは泥だらけで、何も持ち出せませんよ。 こんな危険なところに仮設を作るなんて、市の責任でしょう。これでまた引っ越さなければいけない。私は親戚が住んでいる別の仮設住宅を転々としないといけないかもしれません。市はもっと安全な場所に移動させてほしいです」 実際、部屋のなかは泥だらけになっており、私物が床に散乱している状態になっていた。冷蔵庫が横倒しになるなどの惨状……。この場所にもう一度住む未来は、なかなか想像できない。 別の仮設住宅の住人もこう話す。 「地震があって豪雨があって、それでも私たちは生きてて無事だったから、ありがたいと思うしかないかもしれません。でも、結局また引っ越しでしょ。なんで私たちばっかりこんな目に遭わなくちゃいけないんだろうね」 仮設住宅の惨状は、本当にただの “天災” なのか――。