【漫画家に聞く】もしも悩み多き女性が圧倒的な力を手に入れたらーー脅威のヒロイン描くWeb漫画に反響
もしも他を圧倒するほどの力を手に入れてしまったらーー。2023年10月にXで投稿された漫画『77:PRINCESS』で描かれるのは、力を手に入れた会社員・内田さんの姿。多くの悩みを抱く内田さんが力を手に入れたとき、彼女は何を思うのか。 商業作家としても活躍する作者・水田マル(@mizutamaru777)さんにとって、本作はデビュー作でもある。本作を創作したきっかけ、漫画家を目指そうと思った背景など、話を聞いた。(あんどうまこと) ーー内田さんにつよい恐怖と大きな共感を抱いてしまった作品でした。本作を創作したきっかけを教えてください。 水田マル(以下、水田):私は2年ほど前に勤めていた会社を辞め、漫画家を目指し始めました。そのとき漫画賞へ応募する作品を描こうと思い、制作したのが本作です。もしも自分が物理的な力をもつ人だったら、もっと自由に生きられたんじゃないかと思ったことがありました。人間は無意識的に身長が高かったり、体格の良い人を見るとおびえているような気がして。力を持っている人は、その力を使う機会がなくとも、力によって相手をけん制することができますし、力を持っている状態はすごく安心できるかもしれない。そんなことを考えながら本作を描きました。 ーー作中では核兵器に関する会話も描かれました。 水田:「力を持つこと」をテーマにした作品を制作をするなかで、本作のような力によって相手をけん制できる構図は、さまざまな国が核を保有する状況と重なると思いました。そのため作中に核兵器に関する会話を織り交ぜました。 ーー本作の物語はどのような順番で構成された? 水田:最初に力を持つこととなる内田さんの物語を思いつきました。そこから作品の結末を考え、最後に冒頭のシーンを構想しました。そのなかで本作の結末をどのようなものにするか、とても悩みました。内田さんは幸せであってほしいけれど、多くの人を殺害しているためハッピーエンドにするわけにはいけないので。
あんどうまこと