<俳優生活40年>妹尾和夫「高校の演劇大会での惨敗が礎に」
演劇部員の舞台に悔しさ、それが今への礎に
自分の出番が終わった後、舞台袖で次に演技を行う北海道ブロックチームの様子を見ていると、圧倒されてしまった。なんと、あれだけ自分の時は野次だらけだったのに、観客はひとたび北海道チームの演技が始まると、たちまちシーンと静まり、じっと見つめ、最後には拍手喝采で演技を終えていたからだ。
「細かい内容は忘れましたが、北海道チームは演劇部のメンバーが多かったんですよ。そりゃ、僕らよりうまいのは当たり前なんで当然かもしれません。けど、素人のお芝居でも、みんながあれだけ注目してしまうことに驚きましたね」と妹尾は50年前の出来事を振り返る。 天王寺の光を輝かせるどころか、結果的にその演劇大会では本人曰く「惨敗」を喫したわけだが、演劇部員らの演技のうまさに「悔しさ」も感じたという。それが後の俳優人生の礎になるとは、この時はまったく考えていなかった。 ■妹尾和夫(せのお・かずお)1951年11月17日大阪市大正区生まれ。20代半ばから大阪を拠点にドラマ「部長刑事」「必殺シリーズ」「暴れん坊将軍」などに悪役で多数出演。関西のテレビ。ラジオの情報番組にも多数出演しており、現在は「せのぶら本舗」「とことん全力投球!!妹尾和夫です」(いずれもABC朝日放送)で活躍中。12月16、17両日に自らが主催する劇団パロディフライの本公演「コペルニクスさん家はおとなりです。」(梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ)に向け、全力で稽古、指導に取り組む。