17歳の白井が体操の全日本個人総合選手権で見せた成長度
6種目の合計点で争う体操の全日本個人総合選手権が東京・代々木体育館で開幕。9日は予選が行われ、世界選手権種目別ゆか金メダリストの白井健三(神奈川・岸根高3年)は昨年の53位から20位へと大きくジャンプアップし、予選上位36人による11日の決勝へ初めて進出した。6種目の合計点も昨年の82・850点から大きく伸ばし、86・150点。90・900点で首位発進した内村航平(コナミ)とはまだ5点近くの大差があるが、ますます今後が楽しみな状況だ。17歳の世界王者は、この1年でどれだけ成長したのだろうか。 そもそも白井は、昨年の世界選手権種目別で金メダルを獲得したゆかと、4位入賞を果たした跳馬のスペシャリスト。17歳にしてゆかでも跳馬でも「シライ」と名のついた技を持っているという、世界から一目も二目も置かれている存在だ。しかし、6種目で使う筋肉がまったく違う体操では、スペシャリストがオールラウンダーになるのは容易ではない。白井の場合も、ゆかと跳馬以外の残り4種目にはまだまだ多くの課題がある。 中でも苦手なのはつり輪とあん馬だ。しかし、「16年リオデジャネイロ五輪では個人総合での出場を狙えるようになりたい」という目標を持つ白井は、苦手種目を克服すべく、オフシーズンである冬場にこの2種目の練習を重点的に行った。今回は「これで失敗したらもうあきらめるしかないなという感じです。それくらい詰めて練習してきました」という決意を語るほどだった。その結果、つり輪では昨年の13・000点から13・800点へとアップ。あん馬も昨年の12・200点から今年は13・300点へと得点を伸ばし、2種目で約2点の上乗せに成功した。 しかし、伸びたのはそれだけではない。平行棒は13・600点から14・450点へ、鉄棒は13・750点から14・100点に上げており、この2種目でも計1・2点上げることに成功した。そして、すでに世界トップレベルにいるゆかと跳馬でもそれぞれ昨年より0・1点ずつアップ。全6種目で得点を上げるという成長を見せた。苦手な2種目では大幅に点を伸ばし、まずまずだった2種目でもしっかりと力をつけ、得意の2種目ではさらに安定感をつけたわけだ。