『ゼイチョー』饗庭が誕生させた“お金を巡って仲直りする兄弟” 百目鬼は憧れの人と再会へ
「金ってさ良くも悪くも人間関係を変えるものじゃん? 仕事相手とか一緒に暮らす家族とか大切な人との関係が金を巡って変わることはよくある。だったら税金の使い方次第でこの国のどこかで良い人間関係が生まれることもあるかもしれない。それで幸せになる人がいるかもしれない。俺はその人のために働くよ」 【写真】椅子を運ぶ饗庭(菊池風磨)と加茂原(鈴木もぐら) 徴税吏員・饗庭(菊池風磨)と副市長・相楽(本郷奏多)の財務省時代の同期・奥林(結木滉星)のかつての言葉だ。この“お金が変えてしまう人間関係”が描かれた『ゼイチョー~「払えない」にはワケがある~』(日本テレビ系)第6話。 税金滞納者から差し押さえた物品を売却して現金に換え、滞納した税金に充てる「インターネット公売」にて、「ゆで卵器」の入札価格が100万円まで跳ね上がる。その裏には、この「ゆで卵器」の所有者だった熊川良太郎(山田明郷)の息子ら2人の思惑が隠されていた。父親の会社の相続権を放棄した長男・熊川一哉(田中幸太朗)と次男・英二(古屋呂敏)が異様な執着を見せたこのゆで卵器の内部には、父親が残した隠し金庫の暗証番号が記載されていたのだ。 そもそも父親の会社を引き継いだ三男・弘三(吉村界人)に一方的に滞納金を含む相続を押し付けた兄2人が、それぞれに父親の隠し資産の存在を知り、突然手のひらを返したように父親の滞納分の納税に名乗り出て、我先にとゆで卵器を入手しようとするのがあさましい。 しかし、そんな3兄弟の末路を予測していたかのように、父親は息子たち3人それぞれの活躍が紹介された記事と、弘三の成人式に撮影した3兄弟の集合写真をスクラップしたスケッチブックを忍ばせておいたのだろう。そして改めてお金以上に大切な存在がこんなにも近くにあることを思い起こさせた。奥林のかつての言葉を踏襲するかのように、饗庭はここにまさに“お金を巡って仲直りする兄弟”を誕生させたのだった。 熊谷3兄弟の長男役の田中幸太朗はビズリーチのTVCMでお馴染みだが、今クールのドラマでは『うちの弁護士は手がかかる』(フジテレビ系)に清川検事役として登場していた。次男役の古屋呂敏は、日曜劇場『VIVANT』(TBS系)で、堺雅人演じる主人公が勤める商社の部下・水上了役を好演していたのも記憶に新しい。今クールドラマの『インターホンが鳴るとき』(テレビ大阪系・BSテレ東ほか)にも出演中だ。三男役の吉村界人は『どうする家康』(NHK総合)にて大河ドラマ初出演を果たし、真田信幸役を熱演していた。 饗庭と相楽、奥林らの間に何があったのか、相楽側からの視点で語られることはもう少し先になるようだ。次話は百目鬼(山田杏奈)にとっての憧れの人で元徴税吏員の羽生詩織(市川由衣)との予期せぬ再会が描かれそうだ。この詩織の何やら切羽詰まった様子に、のっぴきならない事情が滲む。彼女の背中を追って徴税吏員になった百目鬼は何を思い、自身のルーツを振り返るのだろうか。
佳香(かこ)