夏のボーナスの使い道、新NISAで米国株が本当に“正解”? 投資の癖は男女で異なる傾向にも注目 崔真淑
夏のボーナスに関するニュースが増えてきました。2024年の夏のボーナスは、民間企業で支給総額が前年比4.4%増加し、16.7兆円に達する見込みと試算されています。これは、一部の業績好調な企業が後押ししていることが影響しています。具体的には、製造業では前年比3.3%、非製造業では4.8%の増加が見込まれると試算されています。もちろん、景気のいい企業ばかりではなく、円安や物価高に悩む内需企業も多いはずです。しかし、平均的にはボーナスが上昇する傾向が期待できる状況ではあるようです。 【写真】「S&P500」か「全米株式」で迷う… 失敗しない米国株投信の選び方は? では、期待できそうな夏のボーナスを何に使うかといえば、1位が貯蓄・投資という調査結果もあり、先が見えない環境の中で消費にパァッと使おうという雰囲気ではないようです。貯蓄だけでなく、新NISAが始まったのもあり、そのお金を更に増やすためにリスクをとってでも投資に回そうという方も多いと推測されます。今回は個人投資家の方々に、知ってほしい投資の税制、そして個人投資家あるあるの癖について紹介していきます。 ■新NISAでアメリカ株を投資する前に押さえておきたいこと さあ投資をするぞ!となると、今話題の海外株や米国株が組み込まれた投資信託や、株価インデックスS&P500に連動する投資信託にお金を振り分ける方も少なくないと思います。理由は、アメリカ株は日本株と違い、どん底を経験しながらも順調に株価を伸ばしていること、そしてアクティブ投資(特定テーマや銘柄群に投資をすること)はインデックス投資に投資リターンで大多数が負けっぱなしというデータがあることです。
ただ、私は少しだけ危うさを感じることがあります。リーマン・ショック以降、世界中で大規模な金融緩和を行ってきたこともあり、金融政策による株価変化の説明力が上がっているという研究があることです。言い換えると、投資家の期待通りに金融緩和をするかしないかで、投資リターンが決まりやすくなっており、企業の個別の頑張りによる株価への影響力が小さくなっているということです。つまり、金融市場の予想に反してアメリカが金融緩和をしないとなれば、一気に株価が崩れる可能性を秘めているということです。そこで、金融緩和をする・しないという一時的なイベントに振り回されないためにも、長期投資が重要であり、5年以内に使う予定のあるお金で投資することは、私はお勧めしないです。 もう一つ押さえておきたいのは、税金です。新NISAは無税と考えている方がいますが、違います! 米国株や米国投資信託の配当金を得た場合、新NISAのおかげで日本の20.315%の税金はかかりません。しかし、日本での税金がかからないことで二重課税ではなくなるため、米国に対して払うべき10%の税金が発生するのです。オルカン、S&P500が最強のような風潮はありますが、米国株ばかりに投資をすると、税金はかかるは、もしもの時に損益通算はできないわ(新NISAは投資で損が出ても、利益と相殺できない)で、往復ビンタのような状況になりかねないだけに、米国株だけでなく、他国の株や、債券、コモディティなど、景気に対して違う動きをしやすい資産を組み合わせることは重要だと思います。 ■投資には癖がある?男女別の傾向とは 投資と向き合うためには、ついやってしまいがちな癖も把握しておくことが重要です。私は、男女差にも注目すべきだと考えています。最近の研究*1によると、平均的には、男性は高リスク高リターンの投資商品を好むのに対し、女性はリスクを避ける傾向が報告されています。その背景は、男性と女性には情報処理スタイルの違いがあり、女性の方が慎重な投資判断を下すことが影響しているようです。この結果だけを見ると、男性の方が女性よりも投資リターンの恩恵を受けやすいように思えます。