静岡知事交代でリニア工事進展も 国は認可、県とJRの協議膠着
環境への影響を懸念し、リニア中央新幹線静岡工区の着工を拒んできた静岡県知事川勝平太氏の辞職に伴う知事選が9日、告示された。建設主体のJR東海との協議は膠着状態にあるが、知事交代によって工事が進展する可能性がある。 JR東海は、リニアを東海道新幹線とともに三大都市圏を結ぶ「大動脈輸送」と位置付けている。品川―名古屋間の2027年先行開業を当初予定し、14年に国から実施計画の認可を受けた。 静岡工区では大井川源流部となる静岡市北端の山間部にトンネルを掘る計画だが、着工許可を握る川勝氏は掘削で川の水量が減るとして、工事に伴う湧き水を川へ戻すよう要求。生態系保全などの対策を独自に検証する専門部会も設け、早期着工を目指すJR東海との協議は平行線をたどった。 国は20年4月に有識者会議を設置。JR東海は22年4月、大井川上流部のダム取水を抑制して川の流量を維持する代替案を提示。県などが了解し、大きなヤマを越えたが、その後も着工の見通しは立たず、JR東海は今年3月29日、27年開業の断念を表明した。