ベルーガ、通信衛星EUTELSAT 36Dをフロリダへ空輸
エアバスは現地時間3月11日、同社が製造した静止通信衛星EUTELSAT(ユーテルサット)36Dが仏トゥールーズから米フロリダ州サンフォードまで大型輸送機A300-600ST「ベルーガST(Beluga ST)」で空輸されたと発表した。今月末にフロリダのケネディ宇宙センターで、スペースX社の打ち上げロケット「ファルコン9」により軌道へ打ち上げられる。 【写真】海上保安庁の大型ヘリを神戸空港へ運ぶベルーガ EUTELSAT 36Dは、静止通信衛星Eurostar Neoをベースに、アフリカ、欧州、東欧諸国にテレビ放送(DTH)と政府サービスを提供するもので、計画寿命は15年以上。EUTELSAT向けでは22番目のエアバス製衛星で、4番目のEurostar Neoとなった。 ベルーガがフロリダのケネディ宇宙センターにエアバスの静止衛星を運ぶのは今回で3度目。2022年10月17日のHOTBIRD 13G、2023年1月30日にInmarsat 6-F2が空輸された。 ベルーガSTは、これまで欧州各地で製造されるエアバス機の翼や胴体などを工場間で運ぶ用途で使われてきたが、2020年1月に後継機A330-700L「ベルーガXL(Beluga XL)」が就航。エアバスは特大貨物輸送の新規事業「エアバス・ベルーガ・トランスポート(ABT: Airbus Beluga Transport)」を2022年1月に発表し、エアバス・ヘリコプターズが製造したヘリコプターや、エアバスの衛星を運んでいる。 ベルーガSTの設計寿命が5万回のフライトであるのに対し、全5機の平均が1万5000回程度と余裕があることから、ヘリや航空機用エンジン、人工衛星、船外実験装置、精密機器などの特大貨物を解体せずに運べる特徴を生かしたビジネスを立ち上げたもので、日本へは特大貨物事業を開始後、神戸空港へ3回飛来している。
Tadayuki YOSHIKAWA