<アグレッシブ・’21センバツ東海大甲府>第2部 支える/1 マネジャー・杉本沙耶さん 勝利に必要不可欠 /山梨
◇「ありがとう」で頑張れた 杉本沙耶さん(17)は2年生でただ一人の野球部マネジャーだ。1年生の山本愛心(まなみ)さん(16)と堀内澪(しずく)さん(16)とともに60人以上の部員をサポートしている。三浦諒太主将(2年)は「チームが勝つために欠かせない」とその存在の大きさを語る。 中学時代はバスケットボール部に所属したが、高校入学後は「裏方の仕事がしたい」とマネジャーを志望した。そんな時、グラウンドで大きな声を出しながらキャッチボールをする野球部員を目にした。「必死に練習している姿が格好良かった」と振り返る。 野球部の見学に行き、当時3年生のマネジャーと接する中で入部の思いを固めていく。「テキパキと行動し、選手に飲み物を運ぶタイミングなど次のことを考えながら動いている姿が魅力的だった」という。 意を決してマネジャーになったが、野球の知識はほとんどなく苦労も多かった。練習試合で記録を任されたが、試合の展開についていけず、後から選手に聞いてようやく書き込めた。一つ一つのプレーを表す記号の意味を先輩に教えてもらい、通学の電車や自宅で先輩が付けた記録を読み返しながら覚えた。 2019年夏の県大会が終わると、3年生の先輩は引退し、マネジャーは1年生の杉本さん1人に。それまで2人でレギュラーチームと準レギュラーチームを手分けして担当していたが、1人になったことで両チームの対外試合に同行するなど、負担は大きくなった。「一人でやっていけるのか」と不安を感じやめたいと思うこともあったが、「『ありがとう』という選手の言葉があったから頑張れた」。 三浦主将は「一人でやっていた時期は本当に大変だったと思う。悩んでいる選手の話を聞いてくれるなど、チームがしっかり練習ができるのは杉本のおかげ」と感謝する。 昨年の秋季関東大会で4強を懸けた東海大相模(神奈川)との2回戦。逆転サヨナラ勝ちを決めた瞬間、思いがこみ上げ、記録を書き終える前に涙があふれた。「頑張ってきて良かった」。3人のマネジャーを含め部員一丸となってたぐり寄せたセンバツ。杉本さんは「選手一人一人のちょっとした変化に気付き、声を掛けられるようにし、選手たちを支え続けたい」と話す。【金子昇太】=つづく