染谷俊之がエーステACT2!冬組を総括「季節を感じられる作品に出会えて幸せ 」
俳優、声優、YouTuberとして幅広いフィールドで活躍中の染谷俊之の魅力に迫るWEBザテレビジョンの連載「月刊染谷WEBマガジン」。毎月、深掘りインタビューを敢行し、仕事の近況からプライベートまで、事務所NGギリギリの質問をぶつけて“染様(染谷俊之の愛称)”を丸裸にします。第29回は、5月に終演した舞台「MANKAI STAGE『A3!』ACT2! ~WINTER 2024」を振り返ってもらいました。 【写真を見る】TRUMPシリーズについて語る染谷俊之 ■公演中に親友・和田琢磨を怒らせた出来事とは!? ──「エーステ」お疲れさまでした。今回は冬組公演ということで、春組の染谷さんはサポートメンバーとしての出演でした。染谷さんのファンの中には、プライベートでも仲が良い植田圭輔さんと和田琢磨さんとの共演を楽しみにしていた方も多かったですよね。 植田圭輔くんが演じる御影 密(みかげ・ひそか)が主役を務める劇中劇を描くまでのストーリーに、僕が演じる卯木千景(うつぎ・ちかげ)と、和田琢磨くんが演じるオーガストが深く関わりました。密と千景はMANKAIカンパニーに入るまで同じ組織に属していた諜報員で、千景はエイプリル、密はディセンバーのコードネームを名乗っていました。オーガストもその組織の一員で、3人は家族のような存在だったんです。これまで3人のエピソードは描かれてこなかったんですが、今回は回想や夢の中のシーンとして、3人でご飯を食べたり、歌を歌ったりしました。 ──染谷さんの中で特に印象に残っているシーンは? 3人が家族のような存在だったことは、抽象的にしか描かれていないんですが、その中でお互いに「いってらっしゃい」や「ただいま」と声を掛け合うシーンがありました。そういう言葉って、一緒に住んでいるとか、近しい関係の人にしか言わないじゃないですか。だから何気ないシーンではあるんですが、3人が家族であるということが垣間見られて印象に残っています。 ──お二人とはこれまで何度も共演していますが、今回の舞台にあたって事前に演技についての話をされましたか? いつもそうですが、3人で事前に相談することはありません。それぞれ自分の考えを持って(役作りをして)稽古場に集まるタイプなので、いくら親しい仲でも「もっとこうしてほしい」と言うのは野暮かなと思っています。2人からも言われたことがないので、同じことを思っているんじゃないですかね。 ──今回で植田さんが「エーステ」を卒業となりました。改めて植田さんとはどのような話をしましたか? 植田圭輔くんとは、彼が抜けた後の冬組について話をしました。冬組は昨年もメンバー交代があって、最年少の定本楓馬くんがリーダーの月岡 紬(つむぎ)を演じることになりました。今回の公演は冬組のメンバー全員そろって出演する初めての舞台だったんですが、それを乗り切って、定本楓馬くんもやっと冬組に馴染めたと思います。でもそうなれたのには、植田圭輔くんの存在がすごく大きかった。最年長でもリーダーでもないですが、陰で定本楓馬くんを支えていたからです。だから植田圭輔くん自身、自分が抜けて心配な部分はもちろんあると思うんですが「冬組のみんななら、僕がいなくても大丈夫」と言っていました。 ──和田さんとは、TVドラマ「Solliev0(ソッリエーヴォ)」(放映終了。2024年8月に舞台版が上演予定)、「あいつが上手で下手が僕で」シリーズ(2024年7月にドラマ版シーズン3が放映予定)と共演が続いていますが、今回はどうでしたか? 彼は第一幕の最初に少しだけ出て、その後しばらく出番がなくて、第二幕に満を持してガッツリ出演するという、すごく難しい立ち位置でした。他の共演者は第一幕で温まっているので、この出方はすごく緊張するんですよね。それを知っていて、わざと「(第二幕がうまくいくかは)琢磨くんにかかっているからしっかり演じてよ。頼んだぞ!」と、ずっとプレッシャーをかけ続けたら「ほんとにやめてくれ!」ってついにはキレられました(笑)。それは笑い話として、そうした緊張感がある中でしっかりと自分の役割を果たして、さすがだなと思いました。 ■「エーステ」に3年間出演して「春が特別の季節になりました」 ──「エーステ」といえば、出演者のみなさんで息抜きにワンピースカードゲームをやるのが恒例だそうですが、今回もやりましたか? もちろん! 休憩時間や地方公演の際に宿泊先でやりました。ただ以前に比べると、全体的に熱が下がってきましたね。僕はみんなと戦うのをすごく待ちわびていて、事前に最新のカードを買って備えていました。でも強いカードで勝ってもおもしろくないので、あえて古いカードで戦いました。僕なりの美学です。 ──誰が一番強かったですか? やっぱり北園 涼くんですね。彼はゲームの大会にも出場していますから。あとは古谷大和くんと田口 涼くん。彼らが三強です。今回もひと通りのメンバーと対戦しましたが、僕の戦績は勝ったり負けたりで、トータルだと五分五分くらい。勝つ可能性も負ける可能性もある方が、ゲームとしては楽しいです。僕は負けても冷静ですが、メンバーの中には熱くなるヤツも(笑)。それくらいみんな本気になっています。 ──「ACT2!」シリーズは終了しましたが、2024年10月に「Four Seasons LIVE 2024」が開催されることが発表になりました。まだ先の話ですが、意気込みをお願いします。 今回でひと区切りがついたので、今後どういう展開になっていくのはまだ僕も分かりません。でもきっと同じことの繰り返しという感じではなく、新しい展開があると思うので、次のステージでも成長した姿をお見せして、ファンの方や作品自体が好きな方に喜んでもらえるよう頑張ります。 ──染谷さん自身は「エーステ」に加わって3年目となります。染谷さんの後に加入したメンバーも増えてきましたが、自身の立ち位置をどう捉えていますか? 「A3!」は2018年から始まって、初期からのメンバーはこれまで500公演近くも出演しているので、100公演くらいの僕はまだまだです。でも、徐々に季節を感じるようになってきました。季節ごとに上演するスタイルはすごく素敵で、特に僕は春組なので、春というと自然と「エーステ」のことが思い浮かびます。そんな作品に出会えてすごく幸せです。立ち位置としては、初期からのメンバーと新たに入ってきたメンバーとでは見える景色が違うと思うんです。僕の場合はその中間で、それぞれの景色が見えていると思うので、僕なりの立ち位置で今後も精一杯演じていきます。 ■「一番好きな役」というファンも多い名作舞台の続編が決定! ──ここからはもう1ネタ。TRUMPシリーズ最新作の舞台「マリオネットホテル」(2024年9~10月)に主演することが発表になりました。TRUMPシリーズはどういう作品でしょうか? 2009年から上演し、今年で15周年を迎える演劇で、7月からはテレビアニメ化もされる作品です。僕は2017年の「グランギニョル」と、2019年の「COCOON(コクーン) 月の翳(かげ)り星」に、特級貴族家系デリコ家の当主ダリ・デリコという役で出演させていただきました。元々「TRUMP」という作品があって、そこに登場するダリ・デリコの若い頃を描いたのが「グランギニョル」で、「TRUMP」の裏側を描いたのが「COCOON 月の翳り星」です。そして今回の「マリオネットホテル」は、「グランギニョル」の前日談を描く作品になります。 ──TRUMPシリーズにはどのような思い入れがありますか? まずTRUMPシリーズ自体がすごく人気のある作品で、新作公演を発表するとSNSでトレンド入りするくらい反響があります。僕が出演させていただいてからだいぶ経っていますが、未だにファンの方から「ダリ・デリコが今までの役の中で一番好き」と言っていただくことも多いです。TRUMPシリーズは内容がけっこう複雑で、各作品に伏線がたくさん張られていて、その作品内で回収することもあれば、別の作品で回収することもあります。そのため、含みを持たせて絶望とも希望ともとれるシーンで終わることもあって、ストーリーがすごく面白いです。そうした作品において、僕なりの演技でダリ・デリコの魅力を伝えられているのかなと思っています。 ──「マリオネットホテル」に先駆けて、2024年6月16日(日)に「グランギニョル」のリバイバル上映会が東京・大阪であります。改めて「グランギニョル」の見どころを教えてください。 ダリ・デリコと、三浦涼介くんが演じるゲルハルト・フラという2人の貴族が、ライバルとしてお互いに高め合っていくストーリーです。貴族ということですごく耽美な世界観で描かれていて、アクションシーンなどもあります。何より先の展開がまったく読めなくて「最後はこうなるんだ」という驚きがあると思います。クライマックスは感動的なシーンではあるんですが、見方によっては悲しい結末にも映るかもしれません。他のシリーズを見ていなくても、単体で十分楽しめる作品ですのでぜひご覧ください。そうすると「マリオネットホテル」がもっと楽しめると思います! 取材・文=河合哲治郎