「オッペケペー選挙と優良政策だけでは政権交代は起きない」2つの市長選から見えた自民党の地盤のゆらぎと野党の非力
政治経済の関心が高まることの弊害
前橋市と京都市の選挙結果から、今現在の国民心理をどのように分析しているのか。 「与党に逆風が吹いていることは間違いありませんが、あまり怖いものにはなっていません。というのも、今現在政治に対する関心は高まっているからです。日本人はとにかく権力に弱いため、一般的に政治経済が注目されればされるほど、偉そうな人が当選しやすくなる。 つまりは自民が票を集めやすくなります。もちろん、自民に『NO』を突きつける有権者も増えていますが、それ以上に『なんとなく権力を持っているから』という理由で自民に投票する人も多いです」 さらには、2022年の参議院選挙で当選した“ガーシー”こと東谷義和氏が、ふだんは選挙に行かない層を取り込んだことで当選したことにも言及する。 「結果的に東谷氏は国民のために何か政治活動をしましたか。していないですよね。政治経済を理解していない人は少なくなく、そういう人たちが投票に向かうことを歓迎していいのか悩ましいところです」と困り顔を見せた。 ちなみに前橋市長選の投票率は、4年前の前回選挙から3.77ポイント低い39.9%。一方、京都市長選は前回より0.96ポイント高い41.67%だった。ちだい氏の指摘を鑑みると、政治の関心と自民党の強さにはある程度の相関があるように感じられる。
解散総選挙の可能性は低下
いずれにせよ、内閣支持率は下がっており、政権交代や解散総選挙を望む国民も一定数いる。まず解散総選挙の可能性について「私は以前『早期の解散もあり得る』と予想していました。しかし、年初に発生した能登半島地震に対応する必要が生まれました。 また、今国会の目玉である“共同親権の導入”という子どもやDV被害者にとってセンシティブな法案を通すことで、与党としての存在感を示そうと必死です。自民としてはしばらく解散は頭にないように思います」と予想。 「もし解散総選挙が実施された場合、自民が少し議席を減らすでしょう。立憲は微妙に議席を伸ばす程度で、政権交代を果たすことは難しいです。政権交代を果たすために今できることは、なんとか国民の期待感を集めるしかありません。とはいえ、支持者が失望することを繰り返しており容易ではないです。真面目にコツコツと政権批判を続けることに鉱脈があると思います」