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この週末、何を観よう……。映画ライターのバフィー吉川が推したい1本をピックアップ。おすすめポイントともにご紹介します。今回ご紹介するのは、現在公開されている『マダム・ウェブ』。気になった方はぜひ劇場へ。 【写真】「ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース」第4作目、『マダム・ウェブ』場面写真【8点】 〇ストーリー ニューヨーク。救急救命士として働くキャシー・ウェブ（後のマダム・ウェブ）は、一人でも多くの命を救うため日々奮闘していた。ある時、救命活動中に生死を彷徨う大事故に巻き込まれてしまう。それ以来、キャシーはデジャブのような奇妙な体験を重ねるのだった。自分に何が起きているのか戸惑うキャシーだったが、偶然にも出会った3人の少女たちが、黒いマスクの男に殺される悪夢のようなビジョンを見てしまう。それが未来に起きる出来事だと確信したキャシーは、少女たちを助けることを決意。未来が見えるという不思議な力を使い何度も危機を回避するが、謎の男はどこまでも追ってくる…。男の目的は一体？なぜ執拗に少女たちを追うのか？やがて明らかになる、少女たちの＜使命＞とキャシーの能力の秘密。少女たちを守る先に、彼女が救うことになる＜未来＞の正体とは？ 〇おすすめポイント 『ヴェノム』(2018)や『モービウス』(2022)、そして8月公開予定の『クレイヴン・ザ・ハンター』と展開される「ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース」だが、今まではスパイダーマン不在で、スパイダーマンのヴィランたちに焦点を当てた作品となっていた。 ヴェノムやモービウスもシリーズによっては共闘することもあるだけに何とも言えない部分はあるのだが、今作は裏表なく、スパイダーマンをサポートするキャラクターとしては初めての映画化となる。 ソニーはもともと、女性キャラクターが活躍する「スパイダーマン」シリーズを制作する企画をしていたなかで、マダム・ウェブやスパイダーウーマンといったキャラクターが候補に挙がっていたのだが、今作はそんな企画が合体したものとなっており、2～3本分の映画がまとめられていると言っても過言ではないのだ。 そのため内容が凝縮され過ぎていて、ドラマのプロローグ版を観ているような気分になる。ドラマシリーズ的な演出は、ドラマ「ジェシカ・ジョーンズ」のS・J・クラークソンが長編初監督を務めたことも大きいといえる。 マダム・ウェブ単独作品というよりは、原作でいうところの「オーダー・オブ・ザ・ウェブ」に近いものとなっていて、そこに繋がっていくような構成となっているため、続編やテレビシリーズへの移行が決まっていれば受け入れやすいのかもしれないが、その先の展開が何も決まっておらず闇の中というのが評価に困る部分ではある。 詰め込み過ぎているとか、ある程度の下調べが必要になるといった批評家からの意見も多くあり、アメリカでは酷評の嵐ではあるし、言っていることも分からなくはないのだが、誰がやってもごちゃついてしまうような題材を映画尺のなかで上手くまとめているのではないだろうか。 さらに言えば、脚本家組合ストライキの影響や、そもそも企画がなかなか進まなかったりと、多くの企画が発表されていながら実現にいたらない作品が多くあったなかで、ひとつの作品として世に送り出されたことは、とりあえず評価すべき点ではないだろうか。 またスパイダーウーマンたちを演じたシドニー・スウィーニーやセレステ・オコナーといった若手女優たちが見事なキャスティング。殺人鬼から逃げ回るティーンホラー的側面を引き立てているのは、彼女たちの魅力が詰まっているからだ。 知っているとより楽しめる情報としては、スパイダーマンことピーター・パーカーの母親の物語や映画「スパイダーマン」シリーズではお馴染みで、これまでクリフ・ロバートソンやマーティン・シーンといった俳優が演じてきたベン・パーカーの若き日も描かれているということ。それを映画で描いた作品というのは、かなり貴重ともいえるだろう。 （C） & ™2024 MARVEL 〇作品情報 監督：S・J・クラークソン 出演：ダコタ・ジョンソン、シドニー・スウィーニー、イザベラ・メルセド、セレステ・オコナー、タハール・ラヒム、エマ・ロバーツ、アダム・スコットほか 2024年／アメリカ映画／1時間56分／レーティングG 2月23日（祝・金）IMAX（R）ほか全国の映画館で公開中!!