偽装結婚2000万円、処女20万円、バストに釘を打たせて30万円――歌舞伎町の”人権プライス”
昨年から歌舞伎町界隈に大旋風を巻き起こしている”頂き女子りりちゃん”こと渡邊真衣被告(26)に実刑判決が下った。複数の男性から総額1億5000万円以上を騙(だま)し取り、さらにそのノウハウをマニュアルとして販売したことで詐欺幇助の罪にも問われていたのだ。 「出たらまたトー横に戻りたい」逮捕されたトー横キッズから届いた手紙【画像】 公判では、りりちゃんにベトナム国籍の夫がいることも明かされた。彼女は夫について、「私は今も既婚者のままですが、相手の男性がどこに住んでいるのか、何をしているのか、連絡先もわかりません」「デリヘルで出会った日本人経営者の男性に『ベトナム人と結婚したら、お金をあげる』と言われて私がOKしたからです」と語っている。 戸籍の売買に詳しい歌舞伎町のセイタロウ(仮名・34)がその実情を明かす。 「外国人が日本人と結婚して配偶者等ビザを手に入れると、第一に就労制限がなくなる。第二に、帰化や永住ビザを取得するための要件が緩和される。こういった目的で外国人男性から頼まれて結婚し、報酬を受け取る女性を何人か見たことがあります。報酬の相場は300万~500万円なんだけど、りりちゃんの場合は2000万円ほど受け取ったと聞いています」 りりちゃんがここまでしてお金を作っていたのは、担当ホストに貢ぎたかったためだという。死と金と性が渦巻くこの街では、命だけでなくその他諸々も軽いのかもしれない。 ◆バストに釘を打つ裏のお仕事 歌舞伎町ではこういった自らを切り売りする行為は珍しくない。ホス狂いのアイカ(仮名・24)も″案件″の話をされたことがあると話す。 「ヤバめの案件ってけっこうきますよ。金持ちと子作りしてほしいとか。ちょっと前に流行ったのは鏡張りの家での撮影案件ね。女の子が数人で一人のおじさんに手とか口でプレイするんですけど、複数だし本番しなくていいのでラクだというわけで、ホス狂界隈で相当まわってたと思いますよ。 募集していた女の子の条件は、スタイルが良くて下の毛が生えていること。なかにはつけ毛をつけてまで面接に行く子もいました。面接で裸になったら1万円もらえたんだけど、撮影に進めたら7万~8万円くらいもらえたっぽい。ただその後、違法動画の撮影者が逮捕されたって噂を聞いて、まさかあれかな……って怖くなったのを覚えてます」 こういった撮影案件は「映像系」と呼ばれ、身バレのリスクが高い。一方、そのリスクが低いうえに、実入りがいいのが特殊性癖の案件だ。 「私の友達はハードなSM風俗店でM女として働いていました。店で禁止されてるプレイを希望するドS客とは店を通さずに会っていたみたいです。バストに釘を打たせて30万円、50万円で一日好きにしていいとか。浣腸が続いた日はしんどいわーって笑ってました。当時は担当ホストのためだからできたみたいですけどね」(風俗嬢のミコト・仮名・23) これらの″案件″の延長線上にあったのが海外出稼ぎだ。とくにラオスの金三角経済特区では、現地に赴いたが最後、パスポートやスマホを取り上げられ、帰国すら叶わない事案が多発したことで大使館が警告文を出す事態にも発展した。 最近はかなり減ったが、国内では危険案件がまだはびこっている。フミカ(仮名・20)が体験した案件について明かす。 「友達からの紹介で、一プレイ10万円の案件がありました。一般のパパ活だと相場はたいてい3万~5万円。だから飛び込みで10万円超えるのはレアなんです。 約束のファミレスに集合するやいなや、いかつい人に身分証の写真を撮られて。説明を受けたら、個人で客を捕まえている違法な″援デリ″(援助交際の体で客を捕まえるデリヘル業者)だったみたい。 その日のうちに、処女設定で、20万円で客の相手をしました。もちろん処女じゃなかったけど、処女のフリをしましたね。『テニスやってたから処女膜はその時に破れちゃったかも……(汗)』とか言って。こっちが頑張って奉仕しなくていいからラクでした。 その客は常連らしく、教えてくれた友達もそいつとしてたので、終わった後『あいつラクだったよね~』って盛り上がりました。複数プレイや同じ女の子とプレイすると、こうやって裏でいろいろ言われてますよ(笑)」 ◆拘置所から届いた手紙 この例は偽装処女の案件だったが、歌舞伎町にいる人々に初体験の話を訊くと、客に売った、客との枕、年上のヒモをしていて流れで……などのエピソードが出てくる。皆一様に何かしら嫌な思いをしているにもかかわらず、それなりの覚悟を決めて歌舞伎町という土地にしがみつき続けている。この謎の引力はなんなのだろうか。 本コラムを連載している間に、拘置所にいるトー横キッズから手紙が送られてきたことがある。10代で実家を追い出されてから日雇いやホストの体験入店で食いつなぎ、トー横で遊んでいたという。 『僕はやりたいことがなくてただ仲間と楽しく生活したかった』『出たらまたトー横に戻りたい』と綴っていた彼。その後、差し出し住所の拘置所と全国の刑務所に手紙を出したがすべて差し戻され、消息はつかめなかった。余罪があって裁判を続けているのか、不起訴になったのか……。 彼の言う罪状通り、順当に服役していれば、おそらく出所は来年あたりになるが、その時のトー横はどんな姿になっているのだろうか。彼の出所まで連載を続けられなかったことだけが、少し心残りである。 長らくお読みいただき、ありがとうございました。連載2年9ヵ月、ホス狂いの慶應女子大生として歌舞伎町に入り浸り、幾度となく指名ホストは入れ替わった筆者だけれど、結局真実の愛は見つかりませんでした! 『FRIDAY』2024年11月1・8日合併号より 取材・文:佐々木チワワ
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