【この冬、佐渡へ旅したい】森に育てられたオーナシェフが作る“唯ならぬ”美食とは
丸の内の星つきフレンチで修行した経歴をもつ伊藤さんだが、「origine」の料理は、「あくまでもフレンチを礎にした佐渡の海や山、畑や酪農の恵みと季節の瞬間を合わせるイノヴェーティブな料理」だと語る。 佐渡に移り住み無農薬の野菜作りにも挑戦、暮らすことによって日々感じる島の風土を体と心で受け止め、それを料理する。「自然の中は、ひらめきの時間です。山を歩き、土に触れながら“あるものを、どう生かすか”ということを常に考えています」。 秋を見送り長く厳しい冬が訪れると、佐渡牛はぐっと身が引き締まり、魚の美味しい季節がやってくるという。取材が終わり駐車場から旋回する車に、いつまでも手を振ってくれた二人の姿が、帰り道の田んぼで睦まじく佇んでいた、つがいの朱鷺の姿に重なった。 「origine」 住所:新潟県佐渡市小木町1940-3 1階 電話:080-2115-9996 BY TAKAKO KABASAWA 樺澤貴子(かばさわ・たかこ) クリエイティブディレクター。女性誌や書籍の執筆・編集を中心に、企業のコンセプトワークや、日本の手仕事を礎とした商品企画なども手掛ける。5年前にミラノの朝市で見つけた白シャツを今も愛用(写真)。旅先で美しいデザインや、美味しいモノを発見することに情熱を注ぐ。