中国の若者、自由な「シナリオ」を描いて貯金に励む
【東方新報】中国の若者の間では最近、恋や冒険などさまざまな人生のシナリオを自由に描いて、「そのために貯金する」というゲームが流行している。 その架空のシナリオを進行させるため、必要だと思われるお金を貯めて、実際の銀行口座に入金することが主な作業だ。 例えば、ある女性Aさんは「9月に妊娠した」と仮想した。妊娠検査薬には30元(約597円)かかるので、彼女は30元を自身の預金口座に貯金した。 その後このAさんは「生まれた赤ちゃんを育てている」と仮想して、楽しみながら合計3850元(約7万6648円)の貯金ができた。 また別の女性Bさんは、「雲ベイビー」と名付けた小さなハムスターを育てている自分を設定して、世話する費用を貯めるために節約している。彼女は貯金口座とリンクさせているスマホ決済で何かを支払う時、いつも自分に問いかけるという。「長い間貯蓄に励んできたのに、本当に雲ベイビーのお金を全部使い果たしていいの?」と。 「仮想シナリオ貯金」は、平凡な貯金をより面白くするゲームに似ている。Bさんは、単なる節約や貯金が、なんだか楽しいものになるという。 子育てを仮想して貯金ゲームをしているAさんは、子どもの頃に見た母親が苦労しながら貯金する姿を覚えている。「母は毎月銀行にお金を預けていましたが、そのお金を使うことにはいつも厳しかったです。私は母のようなお金の貯め方だと辛抱が続きません。お金を貯めるあらすじを設定することで、幸せな気持ちで貯金ができます」、Aさんはこう話す。 一方、保険ブローカーの周(Zhou)さんは、現在の高齢化社会と賦課方式(現役者が負担する保険料で高齢者の年金を支払う財政方式)の社会保障制度が、一部の若者に老後の生活への不安を意識させ、貯蓄計画を立てるよう駆り立てていると見ている。 一見単調で子どもっぽい「お金の節約ゲーム」の流行は、若者がより倹約的になるのに役立っていると言える。(c)東方新報/AFPBB News ※「東方新報」は、1995年に日本で創刊された中国語の新聞です。