観客が見守る中、勢いよく燃える「曽我どんの傘焼き」＝２０日夜、鹿児島市浜町の石橋記念公園

　鹿児島の伝統行事「曽我どんの傘焼き」が２０日夜、鹿児島市浜町の石橋記念公園であった。色鮮やかな和傘が組み込まれた高さ５メートルの竹やぐらが、夜空に向かって一気に燃え上がり、多くの見物客は幻想的な伝統の炎に見入った。 【写真】西田橋の近くで炎を上げる「曽我どんの傘焼き」＝２０日夜、鹿児島市浜町の石橋記念公園

　傘焼きは鎌倉時代、父の敵討ちをした曽我兄弟が傘をたいまつ代わりに燃やした故事にちなむ。親への孝心を伝える教えとして、県内では郷中教育の中で盛んに行われた。 　午後８時ごろ、締め込み姿の男衆が火を付けると、やぐらは色鮮やかなあんどんのように闇に浮かび上がった。その後、和傘が投げ入れられる度に無数の火の粉を飛ばした。 　行事に提供される和傘は年々減っており、主催する鹿児島三大行事保存会の野津親俊会長（６６）は「傘焼きは郷土のにおいを感じさせる伝統行事。傘が減り、わらを焼くことになっても次の世代に伝えていきたい」と話した。