〝地銀ショック〟ジワリ…じもとHD、国の管理下に 大幅赤字で無配当、公的資金注入 傘下にきらやか銀行と仙台銀行
地銀の経営危機が表面化した。きらやか銀行(本店・山形市)と仙台銀行を傘下に持つ、じもとホールディングス(HD)=仙台市=が、実質的に国の管理下に入る見通しとなったことが分かった。国が議決権の63%を取得する。2024年3月期連結決算の純損益が234億円の大幅な赤字となり無配当に転落するため、公的資金注入に伴って金融庁が持つ優先株に議決権が発生する。 じもとHDは4月、きらやか銀が金融機能強化法に基づいて09年に受けた公的資金200億円の返済が困難として、国と期限の延長を含む協議を始めると発表した。きらやか銀は業績低迷により、過去3回にわたり計480億円の公的資金を受けた。23年には、コロナ禍で打撃を受けた地域経済を支えるための特例制度(コロナ特例)の適用対象にもなった。これらを全て合わせ、じもとHDには計780億円の公的資金が残る。 地銀では筑波(茨城県土浦市)、東北(盛岡市)、豊和(大分市)の3行も、まだ同様の公的資金計610億円の返済が残っている。3行は、それぞれ5~13年後に返済期日を迎える。 これとは別に、金融危機対応を目的とした別の法律に基づくものもあり、SBI新生銀行が約3300億円の公的資金を残しており、返済に向け国との協議を続けている。