22年の介入水準に迫る円安、高まる要人発言の注目度-為替介入ガイド
(ブルームバーグ): 日本銀行が17年ぶりに利上げを実施した後も円売り圧力は収まらず、ドル・円相場は2022年10月に円買い介入が実施された水準に迫りつつある。市場では介入への警戒感が再燃しており、鈴木俊一財務相や神田真人財務官ら通貨当局者の円安けん制発言に対する関心が高まっている。
神田財務官は25日朝、記者団に対し「ファンダメンタルズに沿った方向というわけではなく、明らかに投機が背景にある」と発言。「投機による過度な変動は、国民経済に大きな悪影響をもたらすものであって容認することはできず、行き過ぎた変動に対してはあらゆる手段を排除せずに適切な行動を取る」と語った。
「今の円安の動きは明らかに投機が背景にある」-151円台で神田財務官
19日に日銀がマイナス金利解除を含む大規模緩和の解除を決定し、翌20日には米連邦公開市場委員会(FOMC)が年内3回の利下げ見通しを維持したものの、円安の流れは続いている。為替市場では22日に一時1ドル=151円86銭と、一昨年に円買い介入が実施された151円90銭台の水準に迫っており、当局からの情報発信に市場は神経質をとがらせている。
神田財務官は、円安の背景にある日米金利差は「明らかに縮小」しており、「今後もさらに縮小していくことが期待される」との見方を示した。過度な変動に対応する為替介入は「常に準備はできている」と指摘。介入に踏み切る水準については「意識をしていない。何よりも過度な変動であるかどうか、それが経済にどれだけの影響を及ぼしていくかを総合的に勘案している」と述べるにとどめた。
足元で口先介入の効果は限定的だ。神田財務官の25日朝の発言後にドル・円は30銭程度の円高方向に進んだが、引き続き151円台前半で推移している。22日に鈴木財務相が「高い緊張感を持って市場を注視している」と、普段と変わらない警戒レベルの発言をした後は、むしろ円安方向に動き、市場では22年と23年の安値(それぞれ151円95銭、151円91銭)が意識された。