昨秋は５番に入り打率４割８分４厘と絶好調だった徳山太一外野手＝米子市で、野原寛史撮影

　センバツ初勝利、そして頂点を目指す鳥取城北。最大の武器となるのが、伝統の強打を軸とした攻撃力だ。先代のチームとも比較しながら、打力と機動力の特徴を分析した。【野原寛史】 　◇打力 　現チームの打率は３割２分７厘。３割６分６厘を記録した先代は下回るが、唯一の公式戦経験者だった畑中未来翔（みくと）主将（２年）に頼りがちだった県大会序盤と比べれば、試合数を重ねるごとに勝負強い打撃が光るようになった。霜村亮・打撃コーチは「先代の打力にはまだ及ばないが、現チームの“伸びしろ”はとても大きい」と語る。 　打線を引っ張るのは、打率３割４分５厘、２本塁打を放った３番の畑中主将と、チームトップの打率４割８分４厘、２本塁打を記録した５番の徳山太一外野手（２年）。野球センスあふれる畑中主将は状況に応じた打撃ができ、攻撃の起点になることも多い。徳山選手は「打撃の柔軟性が高い」（山木博之監督）のが持ち味で、チーム最多タイの６打点を挙げた。６番の宮田葵内野手（２年）は長打力、７番の岸野桂大捕手（２年）は勝負強さが魅力だ。 　中国大会で４番に起用された太田英之介外野手（２年）は「つなぎの４番」の役割を立派に果たした。一方、県大会で４番だった坂根叶琉（かなる）外野手（２年）はパワーが自慢で、中国大会準々決勝ではサヨナラ本塁打を放った。チームは畑中主将を外野から三塁にコンバートし、太田・坂根両選手を同時起用する案も検討中。実現すれば打線の厚みは一層増す。 　課題は１、２番。先代チームと比べて打率は低く、四死球も多くない。中軸が安定しているだけに、１、２番がもっと出塁できれば、得点力は一段と上がるはずだ。 　◇機動力 　チーム盗塁数は１０。全国でもトップクラスの機動力を誇った先代の２６を大きく下回る。ただ、レギュラー９人の５０メートル走記録（自己申告）は、先代とほぼ互角の平均６・２秒台。山木監督は能力を認めた上で「実戦経験が乏しく駆け引きができていない」と指摘する。 　この冬、山木監督は積極的な走塁を心がけるようナインに意識改革を求めてきた。センバツでは一冬を経て成長した「脚」にも期待したい。 ……………………………………………………………………………………………………… 　◇鳥取城北の現チーム打撃成績◇ 打順　守備　氏名　　　　打数　安打　本塁打　打点　三振　四死球　犠打飛　盗塁　　　打率　　長打率 （１）　　遊　　松田龍太　　２８　　７　　　１　　４　　２　　　６　　　１　　１　．２５０　．３５７ （２）　　二　　神田有叶　　２４　　８　　　０　　５　　３　　　４　　　４　　２　．３３３　．４１７ （３）▽　右　　畑中未来翔　２９　１０　　　２　　６　　３　　　５　　　１　　３　．３４５　．５５２ （４）　　左　　太田英之介　１３　　５　　　０　　２　　２　　　２　　　１　　０　．３８５　．３８５ （５）　　中　　徳山太一　　３１　１５　　　２　　６　　０　　　１　　　０　　１　．４８４　．７７４ （６）▽　一　　宮田葵　　　２５　　７　　　０　　２　　６　　　６　　　１　　０　．２８０　．３６０ （７）　　捕　　岸野桂大　　２８　１０　　　０　　６　　２　　　４　　　０　　２　．３５７　．３９３ （８）　　三　　大橋泰成　　１５　　５　　　０　　３　　１　　　１　　　２　　０　．３３３　．４６７ （９）　　投　　広田周佑　　１１　　３　　　０　　３　　２　　　０　　　１　　０　．２７３　．４５５ 　▽　投　　奥田智哉　　１１　　２　　　０　　２　　３　　　１　　　１　　０　．１８２　．１８２ 　　　投　　中野天太　　　１　　０　　　０　　０　　０　　　０　　　０　　０　．０００　．０００ 　　　投　　山内龍亜　　　０　　０　　　０　　０　　０　　　０　　　１　　０　．０００　．０００ 　　　捕　　荒川結生　　　―　　―　　　―　　―　　―　　　―　　　―　　―　　　――　　　―― 　▽　内　　手槌晧太　　１０　　３　　　０　　４　　１　　　１　　　２　　０　．３００　．４００ 　　　内　　永谷光貴　　　２　　０　　　０　　０　　０　　　１　　　０　　０　．０００　．０００ 　　　内　　志水利雄生　　―　　―　　　―　　―　　―　　　―　　　―　　―　　　――　　　―― 　　　外　　坂根叶琉　　１４　　４　　　１　　５　　０　　　２　　　１　　１　．２８６　．５７１ 　　　外　　辻井陸　　　　２　　１　　　０　　０　　１　　　１　　　０　　０　．５００　．５００ 　　　外　　徳永健太　　　１　　０　　　０　　０　　０　　　０　　　０　　０　．０００　．０００ 　※打順は２０２０年秋の中国大会準決勝時点、▽は左打ち ……………………………………………………………………………………………………… 　◇先代チームの打撃成績◇ 　　氏名　　　　打数　安打　本塁打　打点　三振　四死球　犠打飛　盗塁　　　打率　　長打率 ▽　畑中未来翔　３２　１２　　　２　　９　　５　　　６　　　２　　４　．３７５　．６２５ ▽　藤元和虎　　２７　１１　　　０　　７　　２　　１０　　　３　　６　．４０７　．５１９ 　　河西威飛　　３２　１５　　　１　１６　　３　　　８　　　０　　５　．４６９　．７１９ ▽　吉田貫汰　　３５　１３　　　１　１２　　２　　　４　　　０　　１　．３７１　．５７１ 　　安保龍人　　２７　１０　　　０　　８　　２　　　９　　　１　　０　．３７０　．５５６ ▽　構優斗　　　３０　１３　　　０　１２　　１　　　０　　　２　　１　．４３３　．６６７ ▽　阪上陸　　　２４　　４　　　０　　４　　１　　　４　　　０　　２　．１６７　．１６７ 　　名田裕一郎　１３　　５　　　０　　３　　２　　　２　　　０　　０　．３８５　．４６２ ▽　石原夢也　　１８　　５　　　０　　１　　７　　　３　　　２　　５　．２７８　．３８９ 　※長打率は「塁打数（単打数×１＋二塁打数×２＋三塁打数×３＋本塁打数×４）÷打数」 　※２０１９年秋時点の主要メンバー。並びは中国大会決勝終了時点の打順