俳句を無形文化遺産に!世界遺産トーチランコンサート開催
世界中に愛好者がいる俳句を無形文化遺産に――。日本国内を中心に広がりつつある、そんな運動のバックアップを狙うと同時に、ユネスコ(国際連合教育科学文化機関)無形文化遺産保護条約の採択から20周年を記念した「世界遺産トーチランコンサート」が11月27日、東京の渋谷区文化総合センター大和田で開催された。 コンサートの冒頭では、ユネスコの第8代事務局長(1999年~2009年)を務めた松浦晃一郎さん、俳句結社「玉藻」主宰・鎌倉虚子立子記念館館長の星野高士さん、ユネスコ平和芸術家・城之内ミサさんによるトークセッションが行われ、松浦さんが事務局長在任中に、無形文化遺産保護条約の採択にこぎつけた苦労話を語った。欧米諸国では、形のある文化遺産を重視する考えが強かったが、フランスなどを味方につけたことで採択が実現したという。
星野さんは、欧州のスペインや南米ブラジルなどでの俳句普及活動に関わった経験を語り、海外での俳句愛好者が多いことを強調した。海外で講演をした際には、俳句について研究熱心な人から質問を受けることが多いといい、スペインでは「風情とは何か」と聞かれたこともあると語った。 コンサートでは城之内さん作詞・作編曲の「Asian wind」などが、世界遺産トーチランコンサートオーケストラ・スペシャルメンバーによって演奏された。城之内さん自身も指揮やピアノを担当した。 このコンサートの特色は「俳句と音楽」のコラボレーション。聴衆が投句した作品から、俳壇を代表する俳人たちが特選、秀逸、佳作を選び、渋谷区議会議員で俳人の星野愛さんが着物姿で披講を行った。
読み上げられたのは、俳句ユネスコ無形文化遺産登録推進協議会の能村研三会長の特選句となった歌代美遥さんの〈二度染のごとく藍濃き秋の海〉、国際俳句協会の大高霧海会長が特選句とした星野愛さんの〈純金の金塗りかへし今日の月〉、日本現代詩歌文学館の高野ムツオ館長が特選句に選んだ田中言香さんの〈冬の星青き地球の此処に居て〉、鎌倉虚子立子記念館の星野館長の特選句である白井飛露さんの〈色鳥や忘れしころに叶ふ夢〉など。 高野館長と星野館長は、月刊「旅行読売」の「旅よみ俳壇」の選者も務めている。 コンサートでは、オーケストラメンバーの庄司知史さんが、アルメニアの無形文化遺産である楽器ドゥクドゥクを吹く場面もあった。 また、ゲストシンガーの津吹みゆさんが「郡上しぐれて」を熱唱。東邦音楽大学附属東邦中学高等学校合唱団の生徒たちも参加し、文化の香りあふれるコンサートを盛り上げた。