「自由が完全崩壊した」民主活動家・周庭さんは… 香港で「国家安全条例」施行
日テレNEWS NNN
香港では23日、スパイ活動などを取り締まる「国家安全条例」が施行されました。言論統制の強化が懸念される香港について、カナダで亡命生活を送る香港の民主活動家・周庭さんは、「自由が完全崩壊した」と語りました。 ◇ 今月22日、私たちは、カナダにいる周庭さんを訪ねました。 末岡寛雄記者 NNNトロント 「よろしくお願いします」 香港の民主活動家 周庭さん 「よろしくお願いします」 香港の民主活動家・周庭さんは去年、留学先のカナダで、事実上の亡命を表明しました。
香港の民主活動家 周庭さん 「雪が、わりと好きですね。雪を見ると、“あ、私はもう香港にいないんだ”という実感もわいてきて…」 故郷で見ることのない雪景色が、皮肉にも安心感を与えてくれると話します。 ◇ 2020年、「無許可のデモを扇動した」などの罪で、周庭さんは実刑判決を受けました。2021年6月の出所後、警察に“カナダに留学したい”と伝えると、過去の政治的活動を否定する“懺悔(ざんげ)書”のほか、中国大陸に連れて行かれ、警察への「感謝の手紙」を書かされたといいます。 さらに、警察の“スパイ”になるよう、もちかけられたといいます。 香港の民主活動家 周庭さん 「(海外の)香港人の活動家の情報を『私たち(警察)に提供しませんか?』という誘いもあって」 周庭さんは、これを拒否。事実上の亡命を表明したあと、香港警察は、周庭さんを指名手配しました。
香港の民主活動家 周庭さん 「自由は保証されているというのは、香港の良さのひとつだと思いますけど、いま、この良さが完全崩壊」 香港では2019年の大規模デモをきっかけに、反政府的な動きを取り締まる「香港国家安全維持法」が2020年に施行されました。
さらに、23日に施行されたのがこの法律を補完する「国家安全条例」です。スパイ行為などが禁じられていますが、犯罪の定義が広く、さらなる統制強化が懸念されています。 ◇ 日本人にとって身近な旅行先だった香港ですが、その実態にも変化が起きています。去年、香港を訪れた日本人は約35万人で、大規模デモ前の2018年の4分の1ほどです。現地の旅行業者によると、「社会情勢の変化による印象悪化」が背景のひとつとみられています。