センバツ2022 2回戦 金光大阪、粘り抜く 逆転サヨナラ大歓喜 /大阪
第94回センバツに13年ぶり3回目出場の金光大阪(高槻市)は大会第7日の25日、第2試合で昨秋の関東大会4強の木更津総合(千葉)=6年ぶり4回目=と対戦、延長十三回タイブレークの末、4―3で逆転サヨナラ勝ちをした。勝利の瞬間、同窓生や保護者ら約2600人が埋めた阪神甲子園球場の三塁側アルプス席は歓喜に沸いた。準々決勝は第9日第2試合(27日午前11時予定)。金光大阪は、昨秋の近畿大会準々決勝で逆転勝ちした近江(滋賀)と対戦する。【山口一朗、中田博維、長屋美乃里】 延長十三回。木更津総合に2点を奪われたその裏、金光大阪は3四死球などで追いついた。2死満塁。打席には福冨龍之介選手(2年)が立った。1ボール2ストライクで、相手投手の手元が狂い、球は福冨選手の背中へ。右手で死球の部分を抑えながら左手でガッツポーズする福冨選手が一塁に向かい、三塁からキャリー・パトリック波也斗選手(2年)が押し出しで生還。劇的なサヨナラ勝ち、8強進出に、三塁側アルプス席は、歓喜の渦に包まれた。 試合は序盤から金光大阪・古川温生(3年)、木更津総合・越井颯一郎(3年)の両エースの息詰まる投手戦となった。金光野球部OBで、同部保護者会の春本正明会長(41)は「相手投手に翻弄(ほんろう)されている」と厳しい表情を崩さなかった。 だが六回裏、先頭の佐々木駿弥選手(2年)が中前へ甲子園初安打。秋季大会は8番打者だった佐々木選手は、冬の練習での成長を見込まれ、横井一裕監督から1番に起用された。だが直前まで6打数無安打で、アルプス席の父政彦さん(52)は「やっと出た」とホッとした様子。母花織さん(52)も「1番打者の仕事ができた」と喜んだ。 送りバントなどで2死三塁となった後、岸本紘一主将(3年)が中前適時打を放ち佐々木選手が還ると応援団からはメガホンの音が高く鳴った。 東京から駆けつけた野球部OBで、お笑いコンビ「TOKYO COOL」のカンカン=本名・柳沢寛雄=さん(45)は、家族とともにネット裏で応援。現役時代の「金光」のユニホームを羽織って「逃げ切ってほしい」と祈った。 木更津総合に追いつかれ、勝ち越されると、金光応援団からため息が漏れた。だが近畿大会準々決勝でも、近江に6点差をつけられながら追いついた粘りが金光野球の真骨頂だ。タイブレークで2点を先行される不利な状況にもあきらめずに戦い、勝利を呼び込んだ。 ◇元中日・吉見さん観戦 ○…金光大阪の2回戦・木更津総合戦に、第74回センバツ(2002年)に初出場した時のエース、吉見一起さん(37)=写真=が訪れ、三塁側アルプス席で後輩たちを応援した。プロ野球・中日ドラゴンズでセ・リーグ最多勝を2度獲得したが、自身のセンバツは初戦敗退。引退後の昨年6月ごろから月1、2回、母校を訪れてシート打撃に登板するなど、今大会1回戦での甲子園初勝利に“裏方”として貢献した。甲子園に来るのは2年ぶり。仕事の都合で試合途中で球場を離れたが、勝利の知らせを受け、「素晴らしいゲーム。素晴らしいチーム力。全員があきらめなかったのがよかった」と語った。