第93回選抜高校野球 八戸西、初の夢舞台 県勢初の21世紀枠、決意新た(その1) /青森
<センバツ高校野球> 第93回選抜高校野球大会(毎日新聞社、日本高校野球連盟主催)の出場校が29日決定し、八戸西(八戸市)が県勢では初となる21世紀枠での出場を勝ち取った。八戸西の甲子園出場は春夏通じて初めて。選手たちは朗報に笑顔をみせ、全国の舞台への決意を新たにした。組み合わせ抽選会は2月23日。大会は3月19日に兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で開幕する。【南迫弘理、小鍜冶孝志】 午後3時33分、多くの報道陣が詰めかける校長室の電話が鳴った。渡辺学校長は緊張した面持ちで受話器を上げると、「ありがたくお受けいたします」と答え、「無事に選ばれました」と報道陣に安堵(あんど)した表情をみせた。 その後、渡辺校長は選手らの待つ会議室に向かい、「皆さんの憧れの甲子園で野球をすることができます。おめでとう」と報告。選手らは涙を流して互いに喜び合い、「ありがとうございます」と一礼した。小川貴史監督も涙を拭い、「みんなの頑張りで甲子園に行けることになりました。さまざまな人に勇気を与えられるような野球をしよう。おめでとう、ありがとう」と選手らを激励した。 小川監督は報道陣の取材に「生徒の前で泣いたことはなかったが、感極まってしまった」と思いを語った。その上で「うれしいだけでなく、頑張らなくてはという気持ちもある。公立高校でも戦えるという姿勢を見せたい。そして、甲子園で校歌を歌えるよう頑張りたい」と気を引き締めた。 センバツ出場を受け、宮崎一綺(かつき)主将(2年)も「率直にうれしい。出場するだけでは満足できないので、しっかり勝ち進んでいきたい」。また、エースの福島蓮投手(同)は「個人の目標としては150キロを投げたい。武器のストレートでチームを勝たせていけるようなピッチングをしたい」と早くも試合を見据えた。 選手らを支えてきた野球部マネジャーの佐々木優里さん(同)は「選手たちの頑張りが報われたと思う。甲子園でも選手たちがいつも通り笑顔でいられるようサポートしたい」と話した。 センバツ出場の一報は、ほかの部活の生徒らも活気づけた。同校陸上部の若林大河さん(同)は「甲子園初出場は誇らしいこと。普段通りのプレーで、まずは1勝を目指してほしい」とエールを送っていた。 ◇「やったー」生徒が歓声 八戸高等支援学校 八戸市の八戸高等支援学校では29日、スポーツ交流会やボールの補修などを通じて八戸西野球部と交流を続けてきた同校の生徒ら約70人が体育館に集まり、センバツ出場決定の瞬間を見守った。 生徒らはスクリーンに映し出された大会選考委員会の21世紀枠の発表で「八戸西」の校名が呼ばれると、「やったー」と歓声を上げ、館内は大きな拍手に包まれた。 ボールの修繕作業に携わった同校3年の吉田望さん(18)は「自分たちの直したボールを使って練習した西高の出場が決まり、甲子園に行く手伝いができてうれしい」と話した。また、部活動で野球部と交流した同校2年の宮本崚人さん(17)は「うれしくて鳥肌が立った。テレビで応援するのが今から楽しみ。甲子園でのホームランが見たい」と期待していた。【江沢雄志】