神木隆之介、「ちょっと弱気…」「どういうこと?」“若きベテラン”が抱えるプレッシャー
■キャリア初の“一人二役”に「どういうこと?」
ベテラン俳優・神木隆之介だが、本作では初の“一人二役”に挑む。「純粋に、一人二役ってどういうことですか? と思いました」と初めて脚本を読んだ時のピュアな感想を教えてくれた。「端島パートの舞台は、僕が生まれる前の高度経済成長期、人口が最大で5000人ぐらいの小さな島。限定された空間の中での人間関係っていうのは、多分特殊なものもいっぱいあると思うんですよ。その島ならではの悩みや、はたまた喜びや安心を理解するのはすごく難しかったです。各キャラクターとの関係性や、各キャラクターが持っている葛藤がやはり難しいなと思いましたね。1つの表現じゃ多分ダメなんだなっていうか。なんて言うんでしょうね……悩みがいくつも絡まってるような。繊細な表現が必要とされてくる作品なんだろうなって」。 高度経済成長期の端島を生きる鉄平について、神木は人気コミック『ワンピース』の主人公、ルフィのようなキャラクターだと語る。一方で、現代の東京でホストをしている玲央は「まったく無気力、無感動、無関心の男」ととらえていることを明かしてくれた。「役作りは、監督たちから言われた言葉を、自分の第一印象でこういう喋り方かな、こういう姿勢なのかなっていうのを現場で実際やってみて、やりながら構築していってっていう感じですね」。 ちなみに、自身はどちらのキャラクターに近いかという問いには「テンションが上がるとルフィっぽいですけどね。家で引きこもってると、本当に堕落した生活になりますからね(笑)。僕、しばらく休みが続くと朝6時とかに寝るようになっちゃう。昼夜逆転になってて。だから基本は鉄平ですけど、チラチラ玲央が見える感じ。両方持ってるので良かったですけどね。どっちも分かるので」と答えてくれた。
■無人の端島に息づくかつての活気を感じ取り……表現者として熱い思いを語る
本作の撮影のため、自身も実際に端島に赴いたという神木。「迫力あります。初めて行ったんですけど、軍艦みたいなシルエットが急に出てくるんですよね。その時に鳥肌が立つんです。なんか、異空間に行ったような……今は入れるところが限定されていて、まったく奥に入れない状態で。建物は残ってるけど、壁沿いに緑が生い茂ってる感じなんです。今、もちろん誰も住んでないですし、危険区域もいっぱいあります。ただ、活気はあったんだろうなっていう面影がなんとなくあるんですよね。ここにいた人たちって多分、楽しい活気があったんだろうなって。なんとなく生き生きはしてるなって思いました」と印象を語る。 端島を初めて本格的にドラマで描く本作。神木自身、その正式名称は本作を通して初めて知ったという。「今は“軍艦島”と認識されていて皆さん知ってはいるけど、どんな島だったのか、どういう方たちが当時過ごして暮らしていたかっていうのは、あまり知らないと思う。僕は知らなかったんです。このドラマを通して、当時の生き生きとした時代の中でどういう人間ドラマが生まれていたか、そして時代とともにどんなふうに駆け抜けていったかっていうのを見ていただけたら。僕らも今、撮影で一生懸命頑張って表現しているところなので。そしてパートが変わり、現代の方でももちろん見どころがいっぱいあるので、同時平行で楽しんでいただけたら嬉しいなと思っております!」と熱く呼びかけた。(取材・文:小島萌寧) 日曜劇場『海に眠るダイヤモンド』は、TBS系にて10月20日より毎週日曜21時放送。