女優・赤木春恵さんら戦争体験語る「みんなの戦争証言」が発売
太平洋戦争の終戦から70年となるのを機に、戦争体験者の証言を集めた「みんなの戦争証言」が31日、双葉社から発売された。女優の赤木春恵さん(91)や俳優の宝田明さん(81)、ジャーナリストの田原総一朗さん(81)ら著名人をはじめ、「零戦」のパイロット、陸軍病院看護婦、女性写真家や新聞記者など、太平洋戦争をさまざまな立場で経験した人々の貴重な証言集となっている。企画者でテレビプロデューサーの小島美佳さんは「『戦争の本だから』と先入観を持たずに、多くの人に手にとって読んでほしい」と話している。 「みんなの戦争証言」は、インターネット上で2014年12月から戦争体験者の証言映像を無料公開している「みんなの戦争証言アーカイブス」の取り組みを書籍化したもの。戦争を体験した14人の証言がまとめられており、今回の書籍化は「インターネット上でなく、活字でコンパクトに読みたい」という読者からの要望に応えたものだという。 「みんなの戦争証言アーカイブス」の活動は、ジャーナリストの堀潤さん、 テレビディレクターの安彦和弘さん、テレビプロデューサーの小島美佳さんらが中心となり、昨年春から始動。小島さんは「自分自身が戦争のことをよく知らず、このままでいいのかという思いが学生時代からずっとあった」と、活動の原点を話す。昨年から戦争体験者へのインタビューを本格的に始め、インターネット上で人々の証言映像を、一切編集の手を加えずに無料公開するという取り組みを開始した。小島さんは「戦争とはどういうものだったのかを一刻も早く体験者に聞き、聞いたものを広く共有して、ずっと先まで語り継いでいこうと考えた」と活動の目的を説明する。 本の中では、戦争の悲惨な面ばかりだけではなく、楽しかったことや青春の思い出なども含め、その人が過ごしたありのままの日常が記されている。人々の何気ない日常の延長線上に戦争があったことが読み取れ、「みんな自分の人生に夢中で戦争について真剣に考えずにいたら、なんとなく戦争が始まっていた、という戦争の一番の恐ろしさ」(小島さん)が、リアリティを持って迫ってくる。