お年寄りは衣装着て9キロも歩けない…村の目玉の人気観光行事、「参加型」の祭りに転換
一般社団法人白馬村観光局は5月4日に「塩の道祭り」を開催するにあたり、歩荷(ぼっか)などの衣装を着て歩く役目を初めて外部に広げる。これまで演出を担った地区住民が高齢で祭りを支えきれなくなったことが背景。一方、衣装をまとって参加したいとの観光客の要望は強く、彼らの力を借りて従来の「もてなし型」から地元と観光客らとが一体で盛り上げる「参加型」の祭りへの転換を図る。 【写真】昨年の「塩の道祭り」の様子。歩荷姿で旧街道を歩く住民有志ら
塩の道祭りは、観光の目玉として1980(昭和55)年に始まり今回で45回目。歩荷や侍、商人などの衣装を着て道を歩くのは地区住民の役目で、20地区以上が参加し最盛期には約100人が歩いた。 未舗装の道もあるなど慣れない格好での約9キロの道のりはお年寄りにとって大きな負担で、加えて大型連休中で、地元の観光事業者が人手をさけないことも課題になっていた。
出演の公募をかけたところ、岩手や東京など9人から応募があった。観光局は現在、6地区から衣装を預かり、事前に応募した人に貸し出す。村は地元の白馬高校や白馬インターナショナルスクールに声をかけており中高生も参加する。仮装コンテストも初開催し、一般客にも祭りのイメージに合った衣装で参加することを勧める。観光局マーケティング部の青木美由紀さん(52)は「いろんな立場の人と祭りを作り上げたい」と呼びかける。 祭りを巡っては新型コロナウイルス感染が落ち着き、本格的な祭りの再開に負担面で二の足を踏む意見があった一方、参加者が毎年2千人を超える祭りとして期待に応えたいとの意見があった。今回、両意見に答える形での開催となり、青木さんは「時代に合わせて知恵を絞り伝統を引き継ぎたい」と意気込んでいる。