ナイジェリアの少女拉致 「ボコ・ハラム」とはどんな組織か?
少女拉致事件とその後
200名以上の少女が誘拐された後、ボコ・ハラムは収監されている戦闘員との交換を要求。この取り引きを、5月14日にナイジェリア政府は公式に否定しました。 しかし、5月26日にナイジェリア軍は「少女たちの居場所を特定した」と発表し、翌27日にはAFPが「オバサンジョ元大統領がボコ・ハラムと接触したが交渉は難航している」と報道。ナイジェリア政府は、交渉の余地を残そうとしているとみられます。 その一方で、少女拉致事件をきっかけに、ナイジェリア政府は対応の遅さに関する内外の批判に直面しています。5月30日にジョナサン大統領がボコ・ハラムとの「全面戦争」を宣言。これは、高まる政府批判を受けたものとみられます。また6月3日、首都アブジャでの拉致事件に関する抗議デモが禁じられましたが、そこには「テロの標的になり得る」という公式の理由以外に、政府批判の広がりを抑える目的があるといわれます。
7月6日、AFPは誘拐されていた60名以上の女性が自力で脱出し、保護されたと伝えました。その詳細は明らかでありませんが、被害者たちの情報が確実なものになれば、軍が行動を起こすことも考えられます。 しかし、その間にも北東部で6月10日に20名以上、6月25日に60名以上の女性が誘拐され、6月21日にはアブジャのショッピングセンターでの爆破事件で21名以上が死亡するなど、ボコ・ハラムのテロ活動は激しさを増しています。 ナイジェリア政府と国際社会には、誘拐の被害者の救出とテロ対策という二重の課題が課されているのです。 (国際政治学者・六辻彰二)