お墓の会社が婚活支援 高岡の山岡石材、社員が“伴走”成婚20組
富山県高岡市の墓石販売の老舗企業が、婚活支援事業に力を入れている。創業91年を迎えた山岡石材工業(福岡町下老子)で、人口減少に歯止めがかからず「墓じまい」が相次ぐ中、出会いの場やスタッフによる結婚までの丁寧なサポートを提供し、地域に幸せな家庭を増やすことを目指す。これまで約20組が結婚。最近は地元企業を対象に、社員の婚活の提案にも取り組んでいる。 山岡石材工業は、墓石の販売高で北陸3県トップの実績を持つ。墓石の営業マンは顧客に寄り添うことが求められ、家族の立ち入った事情を聴くことも多い。「うちの子にいい相手いないかね」と、結婚に関する相談も、よく持ちかけられるという。地域に男女の仲を取り持つ「おせっかいな人」もいなくなる中、人口減少対策と将来の墓石需要のため、2018年に婚活ビジネスに乗り出した。 社内に婚活支援事業部を設置。国内大手の日本結婚相談所連盟の正規加盟店となり、「北陸ブライダルnet」の名称でサービスを始めた。
利用者は入会を認められれば、同連盟のシステムを使って相手探しができる。入会金や登録料、月会費などが必要で、成婚となれば「成功報酬」として24万~27万5千円を支払う。 婚活支援事業部は、山岡朝子専務を中心に、「婚活アドバイザー」の資格を持つスタッフらの5人体制。自治体による婚活支援事業の出会いの場づくりや、他の婚活アプリなどと異なるのは、スタッフが伴走支援することという。お見合いで断られれば、相手にも聞き取りして、次は成功するようアドバイスする。利用者が婚活に迷ったり自信をなくしたりすることがあっても、スタッフが励ましながらアドバイスを重ねる。 離職率の低下につながるとして職場結婚を推奨する企業もある中、地元企業への婚活の提案も強化している。希望があれば社員向け婚活説明会を開いている。 山岡弘之社長は「婚活は、出会いから『先』が大事で、その支援が自分たちの仕事。地域貢献として取り組みたい」と話している。
◆墓じまい◆ 墓石を撤去し、遺骨を別の形に改葬すること。墓を受け継ぐ人がいなくなり、無縁墓になってしまう前に着手するケースが増えている。厚生労働省の衛生行政報告例によると、22年度の改葬数は全国で15万1076件に上り、県内では894件だった。改葬後は親族の近くの墓に移すことや、納骨堂、樹木葬、散骨、永代供養などが選ばれている。