[チャンス大城さん]心臓は生まれつき右にあった あだなは「北斗の拳」のサウザー…いじめを乗り越えてお笑いの道に
ウェルネスとーく
予測不能な爆笑トークで人気のチャンス大城さんは、実は心臓が右にあります。医学的には「右胸心(うきょうしん)」と呼ばれます。心臓だけでなく、内臓も全部、左右逆の全内臓逆位で、およそ5000人に1人といわれるまれな存在。右心臓から始まる予測不能な人生行路を聞きました。(聞き手・斎藤雄介) 【写真4枚】高校時代のチャンス大城さん
健診で、お医者さんも「はじめてみた」
――心臓が右側にあるというのはいつわかったんですか。 小学校1年生のときですね。学校の体育館でやっていた健診で、ぼくに聴診器を当てていたお医者さんが、両サイドのお医者さんを呼んだんです。「ちょっと聞いてくれ」「心臓が右側についている」って。体育館にいたお医者さんがぼくの前に列つくって、順番にぼくの心音を聴いていきました。タワーレコードの試聴コーナーみたいです。「はじめて右心臓の人をみた」と言われました。 ぼくもびっくりして、心配になりました。長生きしないだろうなと思っていました。 ――現実にはその後、健康問題は起きなかったんですね。 そのときに、レントゲンも撮って、心臓だけでなく、それ以外の臓器も全部逆だと言われました。全内臓逆位の場合は健康上の問題は起きないようです。 ただ、万が一、事故とかに遭った際、お医者さんに全内臓逆位と伝わらないのは心配ですね。千原兄弟のせいじさんは、右胸に「心臓はここ」ってタトゥーを入れておけと言いますね。 中学のころ、漫画の「北斗の拳」がはやったんです。「サウザー」っていう強いキャラクターが出てくるんですね。サウザーも右心臓で、秘孔(ツボ)の位置も左右逆だから、主人公ケンシロウの突きが効かない。ぼくは全内臓逆位で「サウザー」ってあだ名になりました。 ぼくのいた中学は荒れていて、窓ガラスが割れまくってるような学校だったんですが、「サウザーっていう強いやつがいる」っていう間違ったうわさが隣町にまで流れてしまって。 そうしたら、隣町の最強番長が「サウザーをやっつける」って言って、学校に来たんです。校門に現れて、「サウザー出せ」って。全校生徒が騒いで、「大城、行ってこい」。で、出て行ったんです。 「お前、だれじゃ」 「え~サウザーでございます」 「なんじゃお前。サウザーは心臓が右なんじゃ。お前がサウザーなわけないやろ」 「ぼく、心臓、右なんです」 「え~」 で、番長がぼくの胸にさわって、心臓が右にあるのを確認して、「かかってこい」とファイティングポーズをとった。 ぼくがびびってたら、番長が「お前、両親おらんやろ」って。「こんな悲しい目をしたやつ、はじめて見た」と言って、何もしないで帰っていきました。その番長は両親がいなかったんです。なんかシンパシーを感じたんでしょうね。