山梨県内のリニア調査実施へ 静岡・鈴木康友知事就任で「協議が加速」と長崎幸太郎知事
当時の川勝平太静岡県知事が中止を求めていたリニア中央新幹線南アルプストンネルの山梨県内でのボーリング調査などについて、山梨、静岡両県とJR東海の3者は実施していくことで合意した。山梨県の長崎幸太郎知事が18日の定例会見で公表した。ボーリング調査だけでなく、山梨県内では本坑工事まで進めることができるようになる。 【イラストでみる】リニア中央新幹線のルート 山梨県内のボーリング調査については昨年5月、当時知事だった川勝平太氏が静岡県の地下水が山梨県側に流れ込むとして、県境から300メートル以内では、調査しないよう「山梨県の頭ごなし」(長崎氏)に、JR東海に求めていた。 これに対し、長崎氏は不快感を示しながらも、山梨県内のボーリング調査などの工事が可能となるようJR東海、静岡県に協議で働きかけてきた。川勝氏に代わり、鈴木康友氏が静岡県知事に就任したことで「協議が加速」(長崎氏)し、合意に達したという。 今回の合意では、静岡県は山梨県側に流出した水に対し、「静岡の水」という形での所有権や返還を求めないことを前提とする。ただ「健全な水循環の回復措置は必要」との文言を合意文書に入れ、静岡県内で生活に影響を与えるようなレベルでの地下水流出となった場合には、回復措置はとることも盛り込んでいる。 ボーリング調査は昨年2月に開始したが、昨年10月からメンテナンスのため中断し、今年5月から再開していた。現在は県境から339メートルの地点まで進んでいる。