「72時間の壁」最優先に救助指揮 細田正・前石川県警本部長、警察官のケア重要性も訴え
関連死を含む犠牲者が110人を超えた珠洲市では、ほぼ全域の断水が4カ月以上続いた。管轄の珠洲署に所属する警察官は管内居住が原則だが、水のない生活はストレスが懸念される。
実は「3交代勤務の警察官を中心に、百数十キロ離れた金沢市での居住を認めた」という。バスで約2時間かけて通勤という初の取り組みだったが、「業務に大きな支障はなかった」と明かす。
地震から約4カ月後の4月25日付で宮城県警本部長に異動した。13年前の東日本大震災では津波などで殉職者も相次いだ。定年まで残り半年。能登半島地震での指揮経験を重ねながら、自らがなすべきことを考え、向き合う日々を送る。
「被災地では警察官も被災者の一人。そうした警察官を休ませ、被害が軽微だった警察署の警察官を投入する。そうした仕組みづくりも考えたい」
■ほそだ・ただし 昭和40年、大阪府出身。神戸大卒業後、国家2種(現一般職)採用で警察庁に入庁し、主に刑事畑を歩む。福岡県警捜査2課長や兵庫県警刑事部長、警察庁犯罪鑑識官などを経て令和4年8月、石川県警本部長に就任。能登半島地震の人命救助や交通規制、警備活動などを指揮し、6年4月から宮城県警本部長。59歳。(岡嶋大城)