多くの著名人も夢中に…1本の映画を観たようなT字路sの音楽、5月から東名阪でツアー
一度聞いたら忘れられない。ブルース、フォーク、ロックンロールを呑み込みながらもジャンルの壁を越えてゆく、大らかで味わい深いサウンド。ボーカル・伊東妙子(Vo&G)の激情あふれるしゃがれ声で、2010年の結成以来、じわじわと中毒者を増やしているブルースデュオ・T字路s(読み:ティージロス)。 【動画】オズワルドの出囃子としても有名な『これさえあれば』 今年2月、現在放送中の連続テレビ小説『ブギウギ』の羽鳥先生のモデルとなった作曲家・服部良一さんのトリビュートアルバムに参加したT字路s。3月15日放送の朝の情報番組『あさイチ』(NHK)に、服部良一さんの楽曲を数多く歌ってきたヒロイン・スズ子役の趣里が登場するにあたり、2人も出演予定だったが、国会中継のためキャンセルに。SNSでは残念がる声であふれた(3月24日放送の『今夜も生でさだまさしスペシャル~みんなDE生さだ~』に出演決定!)。 ■ 1本の映画を観たような充足感と余韻 映画『メタモルフォーゼの縁側』のテーマ曲や、ドラマ『だが、情熱はある』の劇伴。あるいはお笑いコンビ・オズワルドが出囃子に使用している楽曲をきっかけに、T字路sにハマった、という人も多いのでは。 さだまさし、松重豊、伊藤英明、千原ジュニア、伊藤沙莉、池田エライザ、六角精児──といった著名人たちも、こぞってT字路sに夢中になる。その理由は、彼らの楽曲が聴き手を「此処ではない何処か」へと誘ってくれる、深いドラマ性をたたえているからだ。 たとえば「三度の飯より夢中さ/やっとのことで手に入れたのさ/これがなけりゃ世は虚ろ」と歌う『これさえあれば』。「この愛をこの愛をすべて悪魔に差し出そう/何も惜しくはないのさ/ああお安いものだよ」と歌う『はきだめの愛』。 たった数分の曲のなかに人生の喜怒哀楽が刻まれていて、1本の映画を観たような充足感と余韻を感じさせる。温度や湿度や匂いまでがむんと漂ってくるようなドラマチックで哀愁漂うサウンドも、昭和世代には懐かしく、令和世代には新しい。そんなT字路sの音楽がもつ人間くささは、今の時代にこそ人々が求めているものではないだろうか。 その一方、聞き手を選ぶように見えて、実はあっけらかんと突き抜けたエンタテインメント性を感じさせる人たちだけに、まだまだあっと驚くブレイクもあり得る。気になる人は今のうちにライブに足を運んでおくのがベターだ。 ■ 大阪はTHA BLUE HERBと競演 そんな2人が「まむしの2マンツアー」と題して、5月に東名阪でツアーをおこなう。大阪「梅田クラブクアトロ」(大阪市北区)公演では、THA BLUE HERBがゲスト出演する。通常のワンマンとは一味違う、スペシャルな夜となりそうだ。 大阪公演は5月17日、「梅田クラブクアトロ」にて。料金は5000円(オールスタンディング、ドリンク代別途要)で、3月16日・朝10時から一般発売される。 文/井口啓子 ※一部間違いがあり、修正いたしました。