レッズやパイレーツがサプライズチームになった一方、常勝カーディナルスがまさかのどん底に低迷【MLB地区別球団通信簿:ナ・リーグ中地区】<SLUGGER>
レンジャーズが球団史上初の世界一を勝ち取って幕を閉じた、2023年のMLBペナントレース。その結末に至るまでにしのぎを削った全30球団の戦いぶりを通信簿形式で採点した。今回はナ・リーグ中地区の5球団をお送りしよう。 ※SLUGGER12月号増刊『メジャーリーガー555人の通信簿』より加筆・修正 【動画】21年ドラフト全体1位男デービス、大谷から1試合2本塁打! ▼カブス 83勝79敗 勝率.512(地区2位) 通信簿:まずまずです ダンスビー・スワンソンらを補強して上位進出を目指した今季は、6月8日時点で借金10。だが、7月下旬に今季最長8連勝を記録するなど徐々に調子を上げ、トレード補強も施した8月には18勝9敗とさらに勢いを増し、9月上旬にはFanGraphs算出のプレーオフ進出確率が90%を超えた。ところが、終盤戦に失速し、わずかにプレーオフには届かなかった。 シーズン終了後、ホイヤー編成総責任者は「成功と呼ぶことはできない」と語ったが、収獲は少なくない。投手陣では急成長のジャスティン・スティールがサイ・ヤング賞争いに参戦し、アルバート・アルゾレイはシーズン途中からクローザーへ定着。守備でチームを助けたニコ・ホーナーとスワンソンの二遊間コンビはWAR(Baseball Reference版)のチームトップ2を独占した。 このオフはコディ・ベリンジャーがFAとなり、マーカス・ストローマンもオプトアウト。ベリンジャーとの再契約を模索しつつ、大谷翔平の獲得にも乗り出すなど水面下で積極的に動いてきた。今後は今永昇太(DeNA)獲得を目指すかもしれない。 文●村田洋輔 ▼レッズ 82勝80敗 勝率.506(地区3位) 通信簿:まずまずです プレーオフ出場は目前で逃したが、2年連続100敗も予測された下馬評の低さを思えば、今季は大きな実りを得たと言える。30球団最多の16人がメジャーデビューを飾り、23人ものルーキーがひしめいたチームの中でもエリー・デラクルーズのインパクトは絶大で、デビュー直後にチームは12連勝。後半戦は失速したものの、球界屈指のスターにさえなり得るだけのスケールの大きさを感じさせた。そのデラクルーズの活躍もあって、190盗塁はリーグ最多。来季以降も機動力は大きな武器になりそうだ。 一方、投手陣は先発二枚看板と目されたハンター・グリーンとニック・ロドーロが故障。夏場は2人の復調を見込んで補強を控えたが、この目論みも外れて最後までやり繰りに苦労した。それでも、2人の復活や新鋭アンドリュー・アボットのさらなる成長など、楽しみな材料は少なくない。前年比で約50万人以上も増えた観客動員もうれしい誤算で、来季こそ飛躍のシーズンとしたい。 文●藤原彬
【関連記事】
- オリオールズが黄金期到来を予感させる快進撃の一方、ヤンキースは久々にプレーオフを逃す【MLB地区別球団通信簿:ア・リーグ東地区】<SLUGGER>
- 強力打線を背景にブレーブスが貫禄の地区制覇。メッツは大型補強もむなしく……【MLB地区別球団通信簿:ナ・リーグ東地区】<SLUGGER>
- ホワイトソックスやガーディアンズが低迷する中、ツインズが貫禄の強さで地区優勝!【MLB地区別球団通信簿:ア・リーグ中地区】<SLUGGER>
- “日本のエース”山本由伸は貫禄の最高評価。ともに故障離脱の大谷と佐々木朗の評価は?【WBC侍ジャパン戦士の2023年通信簿:投手編】<SLUGGER>
- 大谷、近藤は文句なしで「よくできました」。一方、22年三冠王の村上は思わぬ不振に苦しむ【WBC侍ジャパン戦士の2023年通信簿:野手編】<SLUGGER>