山下清のペン画など初公開 岡谷美術考古館で「新収蔵作品展」 長野県岡谷市
長野県岡谷市立岡谷美術考古館で14日、新たに寄贈された美術品を紹介する「新収蔵作品展」が始まる。放浪の画家として知られる山下清(1922~71年)が、地域の養護施設を訪れて描いた昆虫のペン画など22点を初公開。岡谷にゆかりのある作家に焦点を当て、多様な技法と表現を伝える。来年2月2日まで。 山下は東京生まれ。養護施設でちぎり絵と出合い、18歳から日本各地を巡り風景を細密な貼り絵で再現した。初披露するペン画は、ハチやチョウ、カタツムリを描いた2点。原画の色を再現した複製画も並べて展示し、紫色の羽などが楽しめる。 同館によると、1970年3月に同市の児童養護施設「つつじが丘学園」の前身、塩嶺学園を慰問。子どもたちの目の前で表現した作品という。 会場では、市内に住む新たな収蔵作家3人の作品も並ぶ。工芸作家の小口隆史さんは金属や木、スチロール材を組み合わせた複合素材で、同館所蔵の国指定重要文化財「顔面把手付深鉢形土器」をモチーフに制作。日本画家の武井寿々子さんによる水墨画、洋画家の花岡克行さんが黄土と木炭で制作した絵画もそろう。 同館には2021年度以降、80点の美術品が市民や作家から寄贈された。1970年の開館以来、寄せられた収蔵作品は840点に上る。学芸員の宇治美弥子さんは「地域で活躍する作家から著名な画家まで、新たなコレクションを楽しんでほしい」と話す。新たな収蔵作品は2期に分けて紹介する。 午前10時~午後6時。11月24日を除く祝日の翌日と水曜、12月29日~1月3日は休館。一般370円、小中学生160円。問い合わせは同館(電話0266・22・5854)へ。