「与党大敗」で今後の日経平均株価はいったいどうなるのか
「あの悲哀」とは、1993年から1994年までの細川(護熙・もりひろ)内閣は短期間だったのでそれはともかく、やはり2009年から2012年の民主党内閣時代を指す。鳩山由紀夫、菅直人、野田佳彦首相と3代続いた非自民党内閣時代、取り巻きは消え、陳情団も近寄って来ないという悲哀をもう2度と味わいたくないというわけだ。 今後、与党は過半数維持に向けどう動くのか。まず連立に向けては国民民主党がその候補になる。これに日本維新の会、さらには日本保守党も加わる5党連立政権構想となると、現時点では空想の世界でしかないが、兜町とはそういうところだ。今回の選挙結果を見て、兜町や短期筋は28日にどう動くのか。5党連立は冗談だとしても、どの勢力が連立に加わるのか? それも面白くなった。
■「もう1つの選挙不安」は消えていない すでにチャートをみてもわかるとおり、日経平均は25日現在で25日・75・200日という3つの移動平均線を下回り、きわめて形が悪くなっていた。 しかし、チャート理論から言うと、それならばもっと大きく下落する可能性が高かったにもかかわらず、実際の日経平均はそうなっていなかった。11連続陰線も、衆議院選挙の不透明感を嫌う「オーバーナイト拒否」(建玉を翌日に持ちこさないこと)の連続で現れたチャートの形であって、現在の日経平均が移動平均を下回るこのチャートの形は、「これからの下げを呼ぶ暗示ではない」ということだ。
ただ、衆議院選挙は終わったが、まだ11月5日のアメリカ大統領選挙が残っている。民主党のカマラ・ハリス候補有利から、共和党のドナルド・トランプ候補有利に変わりつつあると言われるこの選挙も、市場にとっては大きな不透明要素である。 実際、衆議院選挙前には一時1ドル=153円台まで円安が進んだにもかかわらず、日本株は株高になっていない。「円安・株高」の関係が、トランプ候補の掲げる「アメリカファースト」主義で壊れるのか。円安期待が、企業業績見通しの数字となって現れる、日経平均の予想EPS(1株当たり利益)も、10月15日に過去最高の2514円84銭以降を記録したあとは、若干足踏みの様相を見せている。
とにかく日本の衆議院選挙が終わり、選挙戦終盤の予想どおりの結果となったことで、大きな不透明感はひとまず晴れた。「日本のブラックマンデーもありうる」と想定、カラ売りで儲けようとしていた売り方からすれば、いったん買い戻すところだ。だが、買い方の心が晴れ「もうここからはあまり落ちないはず」と強気になるのは、11月5日以降のアメリカの株式市場を待たねばならないようだ。 (当記事は「会社四季報オンライン」にも掲載しています)
平野 憲一 :ケイ・アセット代表、マーケットアナリスト