吉田茂元首相は直ちに憲法改正の「必要は認めがたい」と言った、固執した「再軍備の拒否」 「敗戦利得者」による主導権
それどころか、「元首の問題」など、改正しない場合でも、国家の解釈を明確にしなければならないものがあるという指摘もしなかった。
この時点では、憲法改正を強く主張する者も一部にいたが、世間は吉田を親玉とする、敗戦を経て占領軍に協力して利得を得た「敗戦利得者」によって主導権が握られていたのだ。政治や社会が、彼らによって動かされていたのだと言わざるを得ない。 =おわり
■杉原誠四郎(すぎはら・せいしろう) 教育研究家、日本近現代史研究家。1941年、広島県生まれ。東京大学大学院教育学研究科修士課程修了。城西大学教授、武蔵野大学教授を歴任。現在、国際歴史論戦研究所会長。著書・共著に『日本の神道・仏教と政教分離』(文化書房博文社)、『吉田茂という反省』『吉田茂という病』(ともに自由社)、『安倍晋三の黙示録としての「要説・吉田茂という病」』(Kindle版)など多数。